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『手に余る武器』

◆◇◆◇◆


 消えていくゴリラは確かにそこに存在していた証を僕の足元に残した───『ドロップ』


 手のひらに幾度も刺し貫こうと試行した感触が残っている。酷い感触だった


「…」


 ゴリラのドロップを拾い上げる───拾い上げたそれはずっしりとした重みを僕の手のひらに与えた


 小さいにも関わらずグレーさんの扱うハンマーの半分程度の重さのそれは現代日本ではレプリカでしか触れず、本物といえば『ビデオゲーム』などのデジタル媒体でしか先ずお目に掛かれない物だった


「おい、そこにいるのは誰だ」


 初めて触れる本物に興奮と畏怖の入り混じった震えを受ける中、誰かに声を掛けられ咄嗟に『それ』を腰に忍ばせ両手を上げて振り返った


「火事場泥棒ではありません」


 振り返るとそこにはいつぞやのテールで助言をくれた3人組の内のひとりが居た


「お前はテールにいた低◾️◾️」


「!お久しぶりです」


「何だ?逃げ遅れたのか?

 運が悪いやつだな。いや、いい方か」


 ホッと胸を撫で下ろす。怪しまれると思って身構えたもののやはり人は見た目ではなく中身だなと彼の人柄の良さに心の中で安堵した


「ところで」


「はい」


「イバ…つってもわかんねぇか

 こう兎の耳した女を見なかったか?」


「あのバニースーツを着た?」


「そうそう」


「その方なら」


 イバ・チャンだろうか?あまり聞きなれない名前だ。この世界の地図はどんな感じになってるんだろうか。興味が湧く


◆◇◆◇◆


 アルオーナーで眠るイバさんまで男性───ケイチョウさんを連れて行く道すがら僕は話を聞いた


「ゴリラに何負けてんだよ、アイツ」


「2体は流石に厳しいと思いますよ」


「…かもな」


「ケイチョウさん」


「何だ?」


「ゴリラは何を落とすんですか?」


「あ?ハグレがもの落とすわけねぇだろ?

 常識だぞ?」


「いや、ゴリラは本来何を落として

 どこに生息しているのか気になったので」


「あ〜そういうことか

 マグロだ、マグロ。美味いぞ?

 ここから北に行ったらいくつかある筈だ」


「マグロ!いいですね」


「お?低◾️◾️なのに

 その口ぶり食ったことあるのか

 さてはお前ボンボンだな?」


「ですかね?」


「何じゃそりゃ」


 雑談をしながらアルオーナーについた


◆◇◆◇◆


「お客さん、お早いお戻りで」


「はい」


「買い物中にハグレが来たのか

 それは災難だったな」


「こちらの方は?」


「さっき看病を頼んだ方の知り合いです」


「ケイチョウです、イバがお世話んなりました」


「俺は手当をしただけです」


「?とするとお前」


 面倒になりそうだ


「出直します

 チャラントさん

 また今度お願いします」


「え、はい分かりました」


 僕はその場を後にした。振り返る一瞬レムさんが僕を睨んでいた様な気がしたが今は気になる誘惑が多過ぎる。面倒ごとに割く余裕なんて殆どないのだから


◆◇◆◇◆


「タイラーさん!」


「キヨマルさん!」


「グレーさんにエルさん

 無事だったんですね」


「心配したんですよ!」


「探しても見当たらず

 ハグレに…なんて嫌な想像も

 したんですからね!」


「すみません」


 逸れていた2人と無事再会ができて胸を撫で下ろす。こちらで出会った数少ない知人だ。もしものことがあればなんて考えたくもない


◆◇◆◇◆


 エルさんと別れ、グレーさんの後をついていく───カートを買うのは後日にした。街の復興や死傷者の確認があるとのことで街の機能は一時的に停止し、復興につとめるとのことだ


「ここにいても何もできないのです」


「…」


 歯痒い気持ちが残るができることがない以上邪魔にしかならないため帰ることとした

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