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落書き小話  作者: Cornix
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灯台・手紙

 夜、灯台を眺めるのが好きだ。海ではなく、灯台。勿論、海も好きだ。でもやっぱりよく眺めるのは灯台だ。

 遠くに見える長い光がくるくると周り、はるか遠くまで海面を照らしている。長すぎる光は暗闇に飲み込まれ、どこまで届いているのか定かではない。

 一瞬照らされた海はゆらゆらと静かに揺れていて、黒いそれは死んでいるようにも見えた。でもきっと、水面下には多くの生き物がいて、浜辺に立つ僕を見つめ返しているのだろう。

 ある時、水面がきらっと光った気がした。目を凝らすと透明な瓶が浮いていた。灯台の光は遠くを照らしているからこんなに近くを照らすことは無いと思うのだけれど。

 それはぷかぷかと浮き沈みを繰り返しながら

浜辺に近付いてくる。

 手が届く距離になるのを待ってから瓶を手に取った。

 絡みついた海藻や砂を払い除けると、瓶の中には小さく折りたたまれた紙が入っているのが見えた。

 頑丈に留められたフタを開け、それを取り出し開く。手紙のようだ。


『これを拾ったあなたへ。拾ってくれたあなたはきっと心の優しい方であると信じています。どうか、同封されている手紙を彼の元まで送ってはもらえませんか。彼は山田虎太郎という名で、〇〇町□□に住んでいます。1990/5/26』


 書いてある通り瓶の中にはもう一枚紙が入っていて、こちらは蝋で封がされていた。

 私は少し考えて手紙を瓶に戻し、堤防のよく目立つところに置いた。

 1990年ということは今から30年以上も前だ。長い時を経てようやく陸に辿り着いたのだろうか。宛先の人物が今もそこに住んでいるかはわからないし、正直面倒臭いので他の心優しい方に任せることにした。

 誰かが拾ってくれますように。

 灯台を眺めていると、海の近くなのでこういう出会いもある。また面白いことがあったらここに書き残そうと思う。


 私は日記帳をぱた、と閉じた。


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