第十七話〜王との話し合い〜
俺達は話し合いという名の、力技を使った。
魔力があってよかった、このときばかりはそう思った。
王の話では、異世界を行き来するには、月の満ち欠けや、魔方陣の魔力の充填に最低でも1年は必要との事で今すぐ帰る事は出来ないそうだ。
それならそうと早く言ってくれ。早とちりして城をぶっ壊してしまったじゃないか。
つまり、一年後になったら俺達は帰れるのだ!やっと帰れる!
弟の大事な1年を異世界で過ごすことになるが、両親の顔を覚えているだろうか…。
トムさんも、怒りがおさまったのか剣を収めてくれたが、あのまましらばっくれられたらどうなっていたかわからない。
警備の者たちも矛を収めてくれた。よかった。
弟に「帰るまで1年かかるんだって。それまで待てるか?」と聞いたら「にぃにがいるから、らいじょうぶ」とにっこり笑顔だった。心の優しい弟だ。こうして俺達は、一年と言う長い年月をこの異世界で暮らさなくてはならなくなった。
王に「なんで俺たちを呼んだんだ?」と聞くと王は「他国を責めるのに戦力が足りなかった」と言い出した。本当にふざけるなと言いたい。
そんなことで俺たちの人生はめちゃくちゃにされたのだ。
トムさんとシェリーさんが出会えた事はめでたいが、それとこれとは話が別だ。
弟には家族が必要で、俺も家族が大事だった。
マイケルは杖を構えていつでも魔法を放てるようにしていたが、成り行きを見守ってくれていた。ある意味1番冷静だっただろう。
こうして俺達は1年を異世界で暮らすことにした。
もちろん、王には絶対に異世界に帰らせることを約束させた。