第十五話〜目指すべき場所〜
領主様の城を後にした俺達は、まずは腹ごしらえをすることにした。領主様から少し厄介なクエストも提示されたことだしな。
食事処に入って、適当に頼むとみんな黙りこんで、黙々と食事をしていた。俺もはしゃげる気分じゃない…。弟だけは楽しそうに離乳食を食べていたが、(王都か…。)俺達は王都に思いを馳せた。
それはそうと、まず目の前の事だ。領主様から、「王都の方角に少し行くと体長5メートルのドラゴンが住み着いて困っていると報告がある。君達で何とかできないだろうか?」と依頼されたのだ。
5メートルか、前のドラゴンは体長3メートルだったから少し大きいな…。ドラゴンだからブレスとか放ってくるのかな?
「王都に行くついでだし、俺は賛成だ。困っているみたいだし…」と言うと「俺は賛成しかねるね…先を急ぐべきだ」とトムさんが珍しく言ってきた。みんなも賛成と反対が半々だった。
こんなこともあるんだな。そうだよな…、早く帰りたいもんな…。
「でもドラゴンは強いよ?ここの人たちは平均30いったら良い方だから倒せないよ?どうするの?困ってるよ」と言ったら「…すまない、気が急いてしまった。そうだな、ここの人たちを守ろう」と言ってくれた!「ありがとう!」と言うと「なんでお前がお礼を言うんだよ」と笑ってくれた。俺は嬉しくなって「エヘヘ」と笑ってしまった。
最終的に目指すべきところは王都だが、行く道の途中だしまずはドラゴン退治だ。
昼飯を食べたら俺たちは王都の方角に向かって歩いていった。
急にバキボキバキと音が聞こえてきた。
何の音だろうと周りを見回してみても見つからない。
俺たちは一気に警戒態勢をとって円になって弟を真ん中に入れた。
全員武器を構えていたが何かに襲われることは無かった。一体何の音だったのだろうと思っているとズシンと地響きが響いた。
大きい。きっとこれがドラゴンの足音だ。一気に緊張感が走った。
急に日陰になった。なんだろうと上を見てみるとすごく大きなドラゴンがこちらを見ていた。口には血がついていた。さっきの音は何か動物を食べたのだろうと予想される。
体長5メートルともなると、やはり威圧感がある。これは手ごわそうだ。
先に動いたのはトムさんだった。「うおおぉぉぉ!!」と掛け声と共に、土属性で補強した剣でドラゴンに向かって行ったが、鱗1枚通ったがその先は筋肉で阻まれてしまった。
つ、強い!
風属性で強化した矢でシェリーさんが目を狙って射ったら当たった。「ギャオォォォ!!!」ドラゴンは怒ってしまった。「マイケル、また体の中に打つぞ」と言うと「おう!」と返事があってタイミングを見計らって打ったらブレスで阻まれてしまった。
俺は急いで弟を抱えその場所を離れた。手強い!
俺たちがてこずっている時、おもむろに弟が両手を上げて「にぃにをいじめるなー!!」と言って全属性の無数の矢を全方位から撃ち出しまくった。これにはドラゴンもひとたまりもなかったらしく
「キャオォォン!!」と悲鳴を上げてドッと倒れてしまった。もちろん魔力制御装置は全て壊れてしまった。
「す、凄い…」、っと呆けている場合じゃない!「一気に畳み掛けよう!!」とみんなに言って全員で総攻撃を口の中から体の中に攻撃した。プスプスと煙を吐いている、念のために首を落とすことにした。
トムさんがやってくれた。
ドラゴンの死体を異空間収納に入れて戻って領主様に会って「討伐してきました」と言うと、「本当か!?」と驚かれた。
ドラゴンの死体を見せると「おお!なんと大きなドラゴンだ」と言って「この度は助けられた!ありがとう。何か望むものはないか?」と言われたので新しい大剣と魔力制御装置を20個頼んだ。「それだけでいいのか」と言われたが「先を急ぎますので」と言ってお断りした。
食料を買い込み、俺たちは王都を目指した…。
弟くん、頑張りました。