表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショート×ショート 有償ヒーロー

作者: NATA

 僕はニートだ。いつもゴロゴロしており、親に寄生していた。

 そして両親が死んで自分もそろそろだろうと思った。寄生先がなくなったら死ぬのは当たり前だ。どうせ死ぬなら人生をやり直せればいいのにと願いながら眠りについた。

 ある時、目が覚めると若返った。10代後半ぐらいだろうか? しかも空も飛べる。小さい頃に見たヒーローみたいだ。

 どうして若返ったか理由は分からないが、とりあえず外に出る事にした。

 町を歩いていると老婆が困っていた。その人は死んだ母にそっくりでおもわず声を掛けてしまった。けれど、久しぶりに人と話すせいで声がうわずってしまった。

 そんな事は老婆は気にせず、「実は道に迷ってしまって」と言われ、暇な僕はその場所まで歩いて連れて行ってあげた。

 せっかくだから荷物も持ってあげると、何年もニートしていたとは思えないほど軽々しく持つことが出来た。こんな力は持っていなかったはず。

 老婆はお礼と言って1万円を渡してきた。僕は遠慮した。たかだか道案内しただけなのに現金を貰う訳にはいかない。

 しかし、老婆は。「サービスを受けたらお礼をする。私にとってはこれがお礼だよ」と言って譲らなかった。

 僕は断ろうとしたらお腹が鳴ってしまった。恥ずかしい事にここ数日ご飯を食べていなかった。

 老婆は「これで美味しいものを食べなさい。遠慮をして良い時と悪い時があるんだよ。このお礼はね。遠慮したら悪い時だよ」と言い、僕は素直に受け取る事にした。

 そしてこの一万円で近所のラーメン屋に行く事にした。店主が明るく「いらっしゃい」と言ってラーメンを食べた。僕はその匂いに負けて一気にたいらげた。何日も食事していなかった身体には我慢をするのは無理な話だ。

 そうか、「お金を払えばサービスを受けられる」というのはこういう事か、改めて老婆の言葉が身に染みた。

 それから僕は何もしてこなかった自分を反省してヒーローになった。街で困っている人を見かけたら助けてお礼をもらう。時には犯罪者も捕まえた。警察よりも早く捕まえるためとても頼りにされていた。

 みんなが感謝してくれた。そう感謝してくれていた。

 僕はいつものように人助けをしていた。最初こそ感謝をされ、時にはお礼をもらっていた。けれど僕の行動は社会の日常になっていき、いつしか住民たちにとって「当たり前の事」という認識になった。

 しまいには「ニートだったんだからこれぐらい当たり前だろ」という罵声すら飛んできた。どこからそんな事を知ったんだろう。不思議に思っていたが、すぐに分かった。高校生の時に僕を虐めていた同級生だった。何故、同級生がまた出て来たのか分からない。けれど、僕がヒーローとして活動する事が妬ましかったのだと思う。

 僕は心を入れ替えて頑張っているのに、僕ははちきれそうで泣きたくなった。結局、過去はずっと付きまとうのだと。

 それから僕の心は荒んでいき、また暗くじめじめとしている自分の部屋に引きこもるようになった。

 町は治安が悪くなっていったが僕は関係ないと思って黙ってみていた。

 すると、住民が僕の家に押しかけて来た。「そしてニート野郎。仕事をしろ」と文句を言い始めた。それを言っていたのは僕の事を虐めていた同級生だった。

 僕はその言葉にキレて殴った。同級生は倒れて顔から血を流していた。そして僕は言い放つ。

 「仕事と言うなら金を寄こせ」

 近所に響くような声で住民達に言う。すると、ひそひそと相談をし始めた。そして代表者が出てきてこう言った。

 「分かりました。お金を払いますからまた助けてください」

 それを聞いた僕は「分かった」と言って空へと飛んだ。

 僕は思った。「サービスを受けたらお礼をする。それを忘れたら公平性や尊敬の念がなくなる」

 あの老婆との出会いは絶対に忘れない事にしよう。

語彙力と表現力の訓練です。

感想頂けると幸いです。


お題

溶ける(アイス)×ヒーロー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ