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建物を出ると、蓮華を先頭に走る面々。
時折、影が行く手を阻むものの、そんなものは障害にならない。瞬時に凍らせ、道を切り開いて行った。
だが――蓮華の足が止まる。
何故進まないのかと上条が聞けば、道が無いと蓮華は言った。
「湖からは帰れない。だから別な道をとこちらに来たが――」
目の前に広がるのは、焼けた家々。記憶にあるのとは違うその場所に、蓮華は眉をひそめた。
「封がしてあるはずだが……。いつ破れた」
上条に説明を求めるも、詳しいことはわからないと告げられる。
「日向さんを連れて来るまでの数百年、この世界に近付いてはいませんので。――アナタたちなら、何かご存知なのでは?」
聞けば、雅は知らないと即答、だがエメには心当たりがあるのか、おそらく、と付け足して話を始める。
「ノヴァが……叶夜が、やったんだと思います。あの子は色々いじられてますし、そのう――」
言い淀み、蓮華の顔を見る。それを察したのか、気にせず言えと言われ、エメは続きを話した。
「あの子は――王華と華鬼の長の子どもです。産んだのは私ですけどね」
その言葉に、その場に居る全員が驚きの表情を示した。中でも蓮華は、自分に子どもが居たことが意外だったのか、憤りの声をもらしていた。
「あいつめ……私の血を使ったのか。それなら箱を手に入れたのも、この惨状にも納得だ」
これでは他の場所も危ういかもしれぬと、蓮華は道を作ることをリヒトに提案した。
「構いませんが、貴方の負担が……」
「気にするな。早く戻る方が先決だからな。場所は、こちらで指定する」
話を進める二人に、雅は待ったをかける。このまま美咲を置いて逃げることは出来ないと、ディオスの元に戻ろうと説得する。
「――――――それは出来ないわ」
意を唱えたのはエメ。なぜかと問う雅に、エメは言葉を続ける。
「あっちには叶夜もいるし、何より万全じゃない。そんな状態で挑んでも、こっちに死人が出るだけよ」
だから耐えなさい、と言うエメ。
しかしまだ納得出来ないのか、それでも、と言う雅に、蓮華が割って入った。
「ここで争うな。余計な者に気付かれるだろうが。――ミヤビと言ったか。お前の考えもわかるが、今はエメの言うとおり引くのが先決だ。傷付いた体で何が出来る。それに、この場にいる誰一人として、あいつに敵いはしない」
「そんなこと言われてもっ……」
「安心しろ。あいつは美咲を殺さない」
「でも、傷付けない保障なんて!」
「それもしない。目的の為には、無傷で生きていなければ意味が無いからな。――始める」
続きは後からだと話を切り、蓮華と上条は、作業に取り掛かった。
静かに、呼吸を整える。
冷たい空気が漂い、はく息が白くなるほど。
蓮華は右手に力を集中させ、二メートルほどの氷柱を目の前に作り出す。姿が映るほど表面が滑らかになると、上条がそれに触れ、言葉を唱え始めた。




