神様になろう
「神様になろう」シリーズ第三話です。第一話が「コンビニ死闘編」第二話が「競輪激闘編」です。読んで頂けると「少女の恩返し」の意味がわかると思います。
執筆が遅れたのは料金滞納でスマホを停められたためです。これで二回目です。金欠が常態なのでスマホが強制解約にならないうちに早くこの作品を完成させねば、と思っております。
「今日はホントにありがとうございました」
無料送迎バスである。
「いいの、いいの。女神様と神様だからさ」
「そうですよね。今日はホントに神様が勝たせてくれたとしか思えないなあ」
そして
「私も神様になりたいなあ」
と言いながら
なぜか私の顔を見る
まあ、私神様だかんね。そう名乗っちゃったし。
「でも、神様になるのって、けっこう難しいよ。悪いことできないしさ」
何でみんな私の顔を見るのだ。神様で悪かったな。
「ウソついちゃいけないし。誰にでも公平でなくちゃならないし」
「そっかぁ」
少女が椅子の背に寄りかかる。
「でも」
と少女。
「逆にみんなが神様になろうとしたら素晴らしいですね。ウソのない世界。悪のない世界。公平な世界」
女神様を見る。
「そうだね。人は神様になれないけど、すべての人が神様になろうとしたらそれだけでこの世に神の国が出現するかもね」
なんだか女神様みたいだ。女神様だけど。
「あのぉ」
少女がポケットから何やら取り出す。
「何これ?「ちいき新聞」?」
「すごく狭い範囲のミニコミ紙みたいなものなんですけど、それだけにうんと小さなイベントとかでも取り上げてくれて」
どれどれ
私ものぞいてみる
「これ、私の中学なんです」
「どれどれ。ん?ええっ?中学女子ソフト地区大会決勝ぉぉ!?」
少女があわてて
「地区大会て言っても4チームしか出ないんですよ。一回勝ったらもう決勝」
照れ笑い。
「決勝勝つとどうなんの?」
「んー、まあ県大会出ることになりますね」
「すごいじゃん!絶対勝ちなよ!」
「勝ちたいですけど、相手強いから」
「どれどれ。あれ、この学校、エスカレーター式というか、大学まで一貫の有名お嬢様学校じゃないの!?」
「はい、お金持ちばっかみたいで。優勝候補です」
「こんなんじゃお礼にならないと思うんですけど、ほかに思いつかなくて。もちろんタダだからよかったら見に来てください。行き方はですね」
女子中学生のソフトボールかあ
太ももがまぶしそうだな
「なんか変なこと考えてるでしょ?」
「読者サービスじゃん」
「なにそれ。全くスケベじじいなんだから」
「せめてロリコンと言いなさい」
「おヒマだったらぜひ来てください。みんなも喜ぶと思うんで」
「あのね」
ん?
「親によき事をせんと思いてせめてすることなくば日にニ三度笑みて向かえとなり」
ん?んん~っ??
少女もキョトンとしている。
「あのね、仏教のことばらしいんだけど。まあ、
「たまには親に何かしてあげたいと思うけれども自分はまだ若く、金も力もない。そんなときは一日に二度でも三度でもいいから笑顔を見せてあげなさい。きっと何より喜んでくれますよ」
てな感じかな。お金や力より気持ちが大事なんだよ」
「へえっ、仏教て優しいですね!ホントに平和になりそう」
少女の笑顔で私の心も笑顔になりそうだ。
「だから、あなたの笑顔見れただけで十分なんだけど試合は見に行くからね。がんばってね」
「がんばります!今日はホントにありがとうございました!」
改めてお礼を言うと、少女は駅の階段を駆け上がっていった。続く。