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長年差別され続けた私、遂にキレる!〜差別した奴らを抜本的に滅ぼす〜 

掲載日:2023/12/27

「神は二物を与えずッ!!」


 世界中のどこかで、或る一人の漢がそう叫んだ。

 その声は大気を通して海を渡った。

 彼の母国は勿論。

 国という国の境を越えて。

 その声は──(すべ)ての漢が問い返すにまで至った。


「では!! 一物(イチモツ)はどうか!?」


 答えは一つである。

 漢は言った。


「我々漢の勲章なりッ!!」


 阿呆極まりなかった。

 だがそれも然り。

 漢と書いて阿呆と読むのだ。

 コレは自然の道理と言えよう。


「そうだッ!! 我々には一物(イチモツ)がある!! だが!! 神は──」


 道理なのは、しかしここまでだ。 

 以降道理は見る影もなく。

 道理の道は非道の道に。

 道理の理は理不尽の理に。

 世界に合わせて、その姿を変えてしまった。

 

「──女には!! 一物(イチモツ)をお渡しになさらなかった!」


 ……コレが、この世界における一物(イチモツ)優勢思想の興りである。







「くっ!!」

 

 仏頂面の悪漢に、小柄な少女が突き飛ばされた。

 彼女は自身の尻を労るように手を添えて、その悪漢に怯まず食ってかかった。


「謝るぐらいすりゃあいいんじゃねーの? オッサン」

「オッ……オッサンだぁ〜ッ!? 天与の一物(イチモツ)を持たざる女如きが!! 俺をオッサンだと言い腐りやがったのかァ〜!?」

「イチッ……!? なんだよ!! そんなモンついてたら何が偉いってんだ!?」

「ハンッ!! まさか知らんわけではあるまいな!? 神は二物を与えず!! 故に漢には一物(イチモツ)がある!! だが貴様等女はどうだ!? 人間の頭から股にかけて敷かれた正中線を妨げる、ナニかが足りないとは思はねえか?!」

「ナニだよ!?」

「ナニだよ!! 王道の流れに付き合ってくれてありがとう!! そんなこんなで、貴様等女は我々漢の下に位置する!! 端女(はしため)なんだよ下女(げじょ)なんだよ!! 地に()(つくば)(ひざまず)けェ!!」


 ──知っていた。

 少女とて、それが常識である事実は、知っていた。

 しかしだからと言って、真逆(まさか)それが「正しい」だなんて、信じた事は一度も無かった。

 間違いなく間違っている。

 百パーセント間違っている。

 常々そう考えていたんだけれども、なかなか世に問題提起出来ずに居た。

 コレは問題だ。

 問題を問題と言えないのは他の何よりも問題だ。

 だから──だからこそ。

 少女はここで、初めての、正面からの反駁(はんばく)に挑んだ。


「それは──間違ってるぞ!! バカヤローーーッ!!」

「なッッッ!!!? たかが女が!? 目上である漢に向かってェ!? まッッ!! さッッ! かッッ! 口ッッッッ答えしたとでも言うのかッッッッ!!??」

「そうさ、いつまでも従順だとおもったら大間違いだよ……!」

「ならば戦争だ覚悟しろォッッッッ!!!! 明日!!! 世界中の漢達を招集するッッ!!! お前もせいぜい、なるだけの漢女(おとめ)を集めるのだなッッッッ!!!!! フゥーハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!!」


 第三次世界大戦の幕開けである。







 戦いの火蓋は切って落とされた。

 落ちた火蓋は灰すら残らなかった。

 そのくらい酷い戦い──否、戦争なのであった。

 友を亡くし慟哭(どうこく)する者の側で、家族を亡くし啼哭(ていこく)する者も散見された。

 正しく「地獄」の様相を呈していた。

 誰に望まれるでも無く、この戦争は長く続いた。

 街が滅んで、国が滅んで、(すべ)ての境が滅んだ頃合いに。

 遂に人類は、漢と漢女(おとめ)

 アダムとイブの二人になった。

 そして、()しくもその二人とは──。


「よくぞ生き残った」

「そっちこそな」


 いつぞやに少女を突き飛ばした悪漢と、突き飛ばされた少女であった。


「いっくぜぇ!!」

「応ッッッ!!!」


 肉弾戦、だった。

 その字義通り、拳と拳、肉と肉とが弾きあって、もはやコレは、セッ○スとさえ言える様相であった。

 否、セッ○スであった。

 ここに誤謬(ごびゅう)はない。


「先にイッた方の負け!! それでいいか!?」

「構わんッッ!!! 勝つのはいつだって漢なのだッッ!!!!!」

「「うおおおおおおおおおーーーーッッ!!!!」」


≪パンパンパンパンパンパンパンパン‼︎‼︎‼︎≫


 漢は童貞であった。

 それ故に前戯を失念していた。

 経験豊富な少女がリードしたものの、コレは何よりの()()であった。


「オラァ!!!」


 遅れを取り戻さんと、少女の低い双丘(おっぱい)を掴んだ。

 掌に柔らかな体温が広がる。


「────ッッ!!?」


 そして、彼は気づく。

 ()()()()()()()


「ようやく気づいた──みたいだな」


 少女は笑みを浮かべた。

 まるで勝利を確信したかのような、そんな不敵な笑みであった。


「コレはッッ!!!!?? 貴様まさかッッ!!!?? ()()なのかッッッッ!!!??!!!」

「そう、そういう事さ──!!」


 次の刹那、漢は死んでいた。

 腹上死であった。

 ただ直接的な死因はそうであっても、実質的にはそうじゃなかった。

 臨終の際、彼の脳裏に(またた)いた辞世の句を、ここに紹介する。

 

(天与の才、神は女に、二つ与えた。その両胸に、二物の夢を)


 そう、彼は気づいてしまったのだ。

 神は二物を与えたのだと。

 おっぱいは、二つなのだという事を。




〜fin〜

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