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思い出の情景  作者: 翔鳳
4/5

カレーライスバイアスから見るお好み焼き定食と焼きそば定食へのアンチテーゼ

「えー!? 大阪の人って焼きそばをオカズに白ご飯食べちゃうんですか?」


「せやで、違う県に行ったらお好み焼きをオカズに白ご飯を食べることも驚かれたわ。普通にイケると思うんやけどなぁ? ミカちゃんも食べたことないの?」


 定食屋で同僚と一緒にカレーライスを食べている私は、大阪の特集を組まれている番組を見ていた。まるで大阪人は変人だと言わんばかりだ、ひどいもんだ。

 だがしかし、気分は悪いがカレーライスは美味い。毎週一回は食べたくなる味だ、ダイエット中にも関わらず大盛でいつも食べてしまう。しかし、つい食べるために動かしていたスプーンの手が止まった。


「あれ? カレーライスって本当に健全な組み合わせなのかな……」


 身体に電流が走るような感覚に襲われた。カレーライスという食べ物に対して正常性バイアスがかかっているかのような恐ろしさを感じてしまった。


「急に何を言っているんだ、カレーライスは正義だろ? 残業のし過ぎで頭がおかしくなってしまったんだな。可哀想に……」


 同僚の西田に言われてしまう。


「なあ西田、カレーライスって焼きそばやお好み焼きと同類じゃ無いか?」


「おいおいおいおい、全くの別物じゃ無いか。似ても似つかないカレーライスに何を言っているんだよ? 栄養ドリンクの飲み過ぎで頭が疲れているんだよ、寝ようぜ」


 西田は慌てたように言う。周囲のカレーライスを食べている人間を敵に回し、非国民であると非難されるような行為だと思っているのだろうか。


「いいか、俺たちはカレーバイアスにかかっているんだ。カレーに白ご飯、カレーにうどん、カレーにパン。言い出したらキリがないが、カレーは多彩な組み合わせがあるだろ。

 だが、その組み合わせが、冒涜的な組み合わせならどうなる?」


「おおん……続けてくれよ」


「カレーはどうやって出来ている? 牛肉、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジンがある。だがよくよく考えてみると、ジャガイモってドイツとかの主食だよな? つまりはドイツ人にとっては実質カレーライスでは?」


「ああ、言いたいことが分かってきたよ。この詐欺師め」


「更にカレールーは、有名会社の物の裏面で原材料を確かめたことがある。共通しているところで、小麦粉が入っていた。実質主食の成分が入っているんだ。

 当たり前のことだけども、パンやうどんの原材料であり、そして【焼きそば】や【お好み焼き】に使われている。

 そして焼きそばやお好み焼きをオカズにすることに反論している連中は、その小麦粉に焦点を当てていないか? 粉物 + 白ご飯ということに対して文句を言っているんだよ」


「確かにな、麺で白ご飯食べるんかい! っていう感情で言っているよな。白ご飯に対する足し算だわな」


「よってここで証明するぞ。焼きそばやお好み焼きに対して、オカズと認めない勢力の論点は小麦粉を使用している点である。

 しかし、彼らはカレーライスを非難することは無い。それは、カレーライスという食べ物が市民権を得てしまったからである。

 全国で食べられているだろうが、粉物は大阪のイメージがある。そしてその思い込みによって、大阪の人間が特殊に見えてしまうのだ。まるで白ご飯に対する足し算に対して罪を背負わせるような行為だ。

 しかぁぁぁぁし!! カレールーという物は、ドイツ等では主食として取り扱われるジャガイモ。そして麺などに変形する小麦粉という原材料がある。

 結論として世間様に申し上げよう! カレーライスを食べる行為と言うのは、焼きそばやお好み焼きをオカズにして白ご飯を食べる行為と変わることは無い! なぜならば、カレールーは焼きそばやお好み焼きと同義だからである」


「おお、多分どこかにツッコミどころはあるんだろうけども、俺にとっては完璧な論理だ。食休めとしては最高の演説だった」


「ご静聴ありがとうございました」


 西田が拍手をしながら、褒めてくれる。


「いいねえ。ただ、この目の前にあるカレーライスはどうする? 背徳的な食べ物としてお残ししますかい?」


「あん? そんなの完食するに決まっているだろう馬鹿野郎。美味い物をただただ食すだけよ」


「そうだな、美味いは正義やわ」


 くだらないことを言いながら二人でまた食べ始める。そして美味しいカレーライスを完食して、外に出た。


「おい、お前は次、どれに喧嘩を売るんだ?」


「西田、俺は別に喧嘩したいわけじゃないぞ。ただそうだなぁ……」


 少し考える。名案と言うのはすぐに浮かばない。だがジャガイモ繋がりで思ったことがある。


「よし決まったぞ、【ポテトサラダは炊き込みご飯と同類か】について喋ろうか?」


「また変なことばっかり考えるな。まあ結論は美味けりゃ何でも良いってことでしょ」


「それは違いない。美味いのは健康的なものより正義だからな」


 そうして、二人は会社への帰路へと向かった。

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