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続いていく毎日に。

聖誕祭も穏やかに過ぎ、私は今度こそジェイコブ様を笑顔にするプレゼント差し上げられ、本当に良かったです。

そして、ジェイコブ様からは初めて指輪を贈られました。


実は、ジェイコブ様からはずっと指輪はいただけませんでした。

以前に、「指輪はちょっと色々あって、贈りたくない」と言われていたので驚きつつ改めて何故指輪なのか伺った所、渋々お話してくださいました。

ジェイコブ様の周りの殿方の間では、どうやら恋人や婚約者に指輪を贈るのが流行っていたそうなのですが、何故か指輪を贈られた方は早々にお別れする事が多かったそうです。

なんとその確率8割!一体その方々になにがあったのかは不明ですが・・・。

それを見てきたジェイコブ様は、強く心に指輪だけは贈るまいと誓ったそうです。

なのに、何故今回は贈っていただけたのでしょうか?

私と婚約破棄または解消されたい訳ではなさそうですが・・・と伺うと、びっくりした後少し怒るようにこう仰いました。



「ねえ、シシリー。俺はそこまで失礼ではないつもりだよ?

もし別れたいなら、わざわざ指輪を贈るなんて無駄な事はしないよ。


これ(指輪)はね、君と別れる事はない、という俺の決意だよ。」



ある意味ジンクスとなっていた指輪だけど、そんなものに振り回されるほど自分の気持ちはもう揺らがない、と真顔で宣言されました。

本当に、普段は本当に気の利かない方ですのに、なんで恥ずかしげもなくこんなことをさらっと仰るのでしょうか。

ジェイコブ様らしいですが、更に「シシリーはどうなの?」と聞いて来るので本当にずるいです。


私だって、ジェイコブ様をお慕いしております。

逃げないようにジェイコブ様の腕の中に捕まえられている私は、素直にそう答えるしかございませんでしたが、私の答えを聞いた時のジェイコブ様は本当に嬉しそうに笑みを浮かべられるのでもう何も言えません。




そうして、私はジェイコブ様とその後もお付き合いを重ね、時に怒り、お話合いと言う名の喧嘩をしつつ学園での時はあっという間に過ぎていきました。

学園を卒業した年の夏、私とジェイコブ様の誕生日のちょうど真ん中頃に結婚する予定となっております。


夏の盛りを過ぎて、秋の気配がみえてきた頃アイリス子爵領の小さな教会で親しい友人と家族だけの内輪な式をあげます。

私もジェイコブ様も多くの方よりも、親しい方とゆったりとした方が好きなのでこのような形になりました。

式場へ向かう前の控室でジェイコブ様はこう仰いました。



「ねえ、シシリー。俺はきっとこれからも言葉が足りないだろうし、君を怒らせる事もあるだろうと思う。

これでも、一応善処はしているつもりなんだよ?


でも、気が利かない自覚はあるから、君がちゃんと教えてね?

これからも2人で話し合って前に進んで行こうね。」



本当に、ジェイコブ様はどこまでもジェイコブ様です。

実際にジェイコブ様なりに気にかけてはくださってるんです。それは分かっていますが、本当にもう少し違う表現があるのでは?と思わなくはないです。

でも、これがジェイコブ様なのです。


そしてジェイコブ様を仕方ないな、と受け入れてしまう私も私なのだと思います。

きっと、これからもいっぱいお話合いする事があると思います。

今までもいっぱいありましたが、ジェイコブ様は一度として放り出された事はありませんでした。

忙しいと無視された事もやはりございません。

私が怒った時はどんな時でも、すぐに時間が取れない場合はちゃんと別にお時間を取ってお互い納得するまでちゃんと向き合ってくださいました。


こんなジェイコブ様なので、普段がどんなに自由で、発言も自由で振り回されても私は離れられないのだろうな・・・と思い至ったのです。

私も決してできた人間ではございませんので、お互いこれからも支え合って生きていきたいと思います。



結婚を機に、喧嘩した時はこれを読み返してまた仲直りしよう、と自分のために自戒として残します。

シシリー・アイリス


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