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想定しないサプライズに。

季節は過ぎていき、気付けば肌寒くなり晩秋になりました。

ミンタナ伯爵令嬢様とは距離が離れ、私もジェイコブ様も平穏な毎日が続いております。


そして、私の誕生日が近づいていました。

両親から既にリクエストを聞かれており、私はしっかりした宝石箱をお願いしております。

普段使いのものと、ジェイコブ様より頂いた宝飾品が少しありますので・・・。


そう、そのジェイコブ様からは何も聞かれておりません。

とは言え、ジェイコブ様はご自身のお誕生日すら忘れてしまうお方で、私がお祝いに伺うととても喜んでくれましたが、今年はミンタナ伯爵令嬢様のことがあったのであまりお祝いができた感じがしません・・・。

来年こそは、ちゃんとお祝いしよう!!


それに、私の誕生日が近いという事は年末の聖誕祭が近いという事です!

これは皆が一緒に祝える祝日ですので、厄払いのお飾りと共に何かプレゼントを用意してお祝いをしましょう!

喜んで、下さると良いのですが。いえ、喜んでもらえるものを準備して見せましょう!

伊達にジェイコブ様を見て来ていませんもの。



そこからはジェイコブ様の事を良く見ておりました。

ジェイコブ様は実用を大事にされる方なので、実用的で毎日使っていただけるようなもの、かつ派手ではなく品の良いもの。

プレゼントを考えながら色々と探すのは思いの外楽しいもので、私は度々一人で街へと繰り出して物色をしていました。


そんなある日、学園へ着くとジェイコブ様が待っていてくださり、お昼をご一緒する約束をしました。

なにがあるのだろう、と珍しく個室のサロンへ向かった私を迎えたのは予想外のサプライズでした!



「シシリー、お誕生日おめでとう!」



その言葉と渡された花束とプレゼントに、感激してしまいました。

「今日で、あってるよね?」と不安そうにされるジェイコブ様が本当に可愛くて。

どうやら数日前にエイヴィス様に私の誕生日を聞いて、慌てて用意したんだと照れながらお話してくれるジェイコブ様の不器用な優しさに感動しておりました。

なんといただいたプレゼントは、ジェイコブ様の瞳の色である瑠璃のイヤリングでした!

初めてジェイコブ様の色のものをいただきました。婚約者の色をまとえるのは、これ以上なく嬉しいもので権利でございます。

普段使いできる、シンプルで可愛いイヤリングを早速着けた私に、優しく微笑まれ「良く似あっている」と褒めて下さいます。


本当に、本当に優しい方なのですが、たまに本当に不器用なのです。

言葉選びや、そして何かに夢中になると全てが適当になる所とか、大切なものを守るためなら思い切り良く切り捨て過ぎる所とか・・・。


ご本人も、自分は機微に疎いとの自覚もございます。

敢えて無視している事もあるとの事ですので、半分くらいは意図的な対応である可能性もございます。

更に、興味のある事が最優先な方なので、研究が捗っている時は何を言っても無駄でございますが、最近は寝食だけは気を付けて下さるようになりました。

物凄い成長です!失礼かもしれませんが、本当に。


まだまだ、ジェイコブ様の考えが分からなかったり、なんでそんな行動をされるのか理解できない事は良くあります。

もう、呆れてしまう位に。

それでも、結局はジェイコブ様を受け入れてしまうようです。

初めて大喧嘩と言うより、私が我慢の限界でとうとう泣きながら怒った時のジェイコブ様の発言もまたとても衝撃的でした。

いい意味でも、悪い意味でも・・・。



「ねえ、シシリー。俺はちゃんと話してくれないと分からないと言ったよね?


それにね、ちゃんと話さないと君が損をするよ?

話してくれないと、きっとまた同じ事が起きるからね。それは時間の無駄だよね?


だから、我慢していないで何にそんなに怒っているのか話してみよう?」



本当に、もっと別な言い方はないのでしょうかと突っ込みたいですが、これがジェイコブ様でございます。

ジェイコブ様に悪気はなく、彼なりに私を気遣っての言葉なのです。

これでも、随分マイルドな表現になったのです・・・。

それに、この言葉をいただいて、私も怒る時は怒るようになりました。

それはそれで、今度はまた怒るまで不満を溜めず、少しでも「イヤ」だと思った瞬間に毎回ちゃんと言うようにと、とても難しい要求もされたのですが・・・。

今は置いておきましょう。



私の誕生日を祝ってくださるジェイコブ様にお礼と感謝をしつつ、私も聖誕祭にはきっとサプライズを用意しようと心に誓ったのです。


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