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ハプニングは予想外に。

それから暫くは平穏だったように思います。



ジェイコブ様は伯爵家の次男なので当家へ婿入り予定となっております。

私のアイリス子爵家は狭いながらも領地を持っておりますので、ジェイコブ様は領地運営のお勉強もされています。


会計などは私も教育を受けておりますが、ジェイコブ様は元々鉱物や植物の研究を趣味でされており、それらに関する資格も取られるほど勤勉でした。

その研究を我が領地でも行い、発展させたいととても意欲的に行動されているので私の父などはいつも感激しております。


夏の長期休暇にはいつもアイリス子爵領へいらっしゃり、様々な研究をされています。

本当に研究がお好きなので寝食を忘れる傾向がございますので、そんなジェイコブ様を止め、健康管理を行うのは私の仕事でした。

とは言え、婚約者ですし我が領地について頑張ってくださるのはとてもありがたいので、私も誠心誠意お仕えしたいと思っています。


平和だけど忙しい長期休暇も終わり学園へ戻ると、またミンタナ伯爵令嬢様がジェイコブ様の周りにいらっしゃるようになりました。

あまりにジェイコブ様との時間を取られるため、意を決して1度だけジェイコブ様にあまりお1人の令嬢と一緒に居られるのは私も見ていて辛いと申し上げた所、自覚がなかったようで善処すると言っていただけました。


またこの頃、ジェイコブ様は薬草の研究会へも入られましたので、益々忙しくなっていらっしゃいました。

学園で行われる催しものも増える時期でもあり、婚約者のいる者はペアで用意するものなども多々ありますが、ジェイコブ様はそういったものには無頓着でした。

私は改めてジェイコブ様はいわゆる「研究馬鹿」の類だと理解しましたので、そういった本来であれば2人で準備を行うものも私が用意しておりました。

ジェイコブ様はいつも「すまないね、シシリー。ありがとう。」と言ってくださるのが少し嬉しかったのです。

週末はジェイコブ様は割と会いに来てくださり、お話したりお出かけしたり、平和に楽しんでおりました。


ジェイコブ様は研究に勤しんでいる間、私はクラス間のやり取りで忙しくしており、お互いに充実していました。

私が隣のクラスの幼馴染のオーリス子爵令息と翌月のクラス合同演習についてお話していると、ミンタナ伯爵令嬢様がいらっしゃいました。


本意ではございませんが、ミンタナ様とは、結局ジェイコブ様を通して何度かお話をさせていただいており、表面上は友好的にしていただいております。

しかし、この時は違いました。


ミンタナ様は私がオーリス子爵令息と幼馴染で親しいのがお気に召されないようでした。

そして、唐突にジェイコブ様とはとっくに婚約破棄されたのではなかったか、と仰り驚いていると次々にジェイコブ様を悪し様に仰いました。

曰く本来は男性が用意すべきものを女性である私にさせているなんて甲斐性なしだの、それではまるでヒモだの、とても令嬢の発言とは思えない表現の羅列でした。

私はなるべく冷静に対応を行ったつもりですが、自信はありません。巻き込んでしまったオーリス子爵令息様に申し訳ない気持ちでいっぱいのまま、必要な確認は終わったので自分のクラスへと戻りました。


ショックを受けつつもノートをまとめているところにジェイコブ様がいらっしゃいました。

私の様子がおかしい事に気づいたジェイコブ様に問い詰められ、先ほどの話をしました。

そして、ミンタナ様に言われた「ジェイコブ様より貴女とは婚約破棄されたと伺いましたのよ?」と言われ、ジェイコブ様は私と本当は婚約解消されたいのではないか?と思わず聞いてしまった所、笑顔で怒られてしまいました。



「ねえ、シシリー。俺は今話して来ないといけないので、少し待っていてね。

勝手に帰ってしまってはダメだよ、カフェで待っているんだよ?」



と、言い含められたので私は大人しくカフェで待っておりました。

30分ほどたった頃でしょうか?ジェイコブ様はとてもスッキリした良い笑顔で「お待たせ」と迎えに来てくださいました。

帰りながら、ミンタナ様とお話されて来た、思い込みで発言をしないように、自分達に婚約解消も破棄の予定もないと言い含めてきたようです。



「でもね、シシリー。

これもきっかけは君があの時浮気をしたからいけないんだよ。」



と、ジェイコブ様は仰いました。

その言葉に私は軽くまた失望しました。結局この方は私の言葉などさして聞いては下さっていなかったのだと。


そして、また翌日にはジェイコブ様はミンタナ様とも普通にお話され、仲良くされています。

たまに、ジェイコブ様と何かしようとすると、あの厭らしい笑みを浮かべたミンタナ様に邪魔をされます。


本当に、私にはジェイコブ様のお考えが分かりません。


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