第17話
今目の前は、地獄と化している
「火華さん、風華さんちょ、ちょっと休みません?お願いします」
いい歳こいたスキンヘッド(剃髪)が休みたくて歳若い美少女と美女に土下座してるよ……
「あんた達根性無さすぎだし、早過ぎでしょ!もっと腰に力入れて耐えなさいよ!」
火華さんその言い回し、俺が今の状況知らなければ確実に振り返って首突っ込んでるわ。
多分風景見た瞬間に目から光が消えるだろうけどな
何で水瓶持たされてカベさんとシエさん中国拳法の修行法させられてるんだろうね?
火華と風華曰く、体を鍛えて気力、霊力を身体の隅々まで詰め込まないとムラが大きくて壁役や支援役には役不足らしい
俺と雷光さん?元の出力が大きいから取り敢えず
相当やばい奴以外には力負けする事は無いらしい
まぁ、白と戦う事になれば1番最初に狙われ一瞬で死ぬだろう
今は紫霧が作ってくれた空間で燐音の炎を扱っているがまず全くちゃんと力が練れない
「グググッ」
『ほーらっ!気を抜かないの!まずはコントロールよりもアクセルですら足りてないからね?タイガはエンジンは高性能だけどずっとギアがニュートラルか1速に入ってるだけだからね?』
くそーそれを聞いた時の絶望感は凄かった
そして空間隔離して貰って俺の今のエンジンの力でどれくらいMAXで火力が出せるか擬似的に紫霧がやって見てくれたが
東京都の区が1つ消失するレベルの出力が出せると見せて貰った時に
俺の心の中は絶望より興奮による高揚感が勝っていた
そう見せて貰ったって言うより魅せられたのだ。
この力が使いたい力という魔の境地への誘惑に負けていた自惚れていたのだ。
この力があればあの絶望を見せつけられたアイツにも勝てると
そんな思考に陥っていると、後ろから頭を叩かれた
「うぇ!?痛てぇ?何なに?」
俺は振り返るとそこにはすごい迫力で微笑んでいる紫霧が居た。
『ターイーガーくぅーんー?』
あ!やべぇご立腹だこれは
「あ!いや、そのえへへ」
頭を掻きながら愛想笑いを浮かべてみる。
『正座』
「ん?」
『正座!はよしろ!』
「はぁいぃぃぃぃ」
俺はその場でジャンプして正座で着地した。
今の俺は情けない顔をして尚且つ汗だくでガクブル状態だろう。
それ程までに目の前に居る鬼が怖いのだ。
『あ"ぁ?鬼ぃ!?』
ひぃぃ心読まないでぇー
プライドもへったくれもないのでとりあえず最終奥義土下座をしました。
『タイガ?私はね?あんたのお母さんに心と体を護る様に頼まれているの?分かる?だから白みたいな奴に出くわした時の為に力を見せたの。決してあなたを死地に向かわせる為ではないよ?』
ニコニコと笑顔でそう告げる紫霧は美しくも怖いです。
拝啓お母様、私は今猛烈に女の子が怖いです。
「はい、すみませんでした。調子乗りました」
何故かよく見ると隣に燐音も正座してるし。
『分かれば良いのよ?でもね今の状況は私達異形の者達にとっても計算外なの?力はあっても悪い事ではないけど。今のあなたは力に魅せられ心が曇っているの。どんな時でも力は所詮道具よ?使う人によって護る力にもなるし破壊の力にもなるわそこは肝に銘じてね?』
しゅんとする俺。
「ケチんぼ」
"ピキィ"
何か変な音が聴こえた気もする。ん?どうした燐音そんなにアワアワして。
「あれ?紫霧さん?どうして俺の頭アイアンクローしてるの?どぉして?」
『ふふふふ……何か?タイガが反省してないようだから体に聞こうかな?って思ってね?覚悟はいい?』
燐音は頭を抱え亀状態でガクブルと震えている
俺も目に涙を浮かべ首を振るフル……
「ごべんなざい……」
『ダメよーだぁめっ!』
その日俺は女の人の恐怖を身に刻まれた
"2度と逆らいません。力に溺れません"
これを胸に活動するだろう
俺が折檻されている間
ガクブルと震えていた燐音は
『主様……申し訳ありません。燐音には紫霧様に逆らう勇気はありませんひぃぃ』
と悲鳴を上げて怯えていた。
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