第13話
「あーもううっさいわ!何だ?さっきから」
俺はスマホを取り出すと、東京都全域に避難勧告が出ていた
"しかも最後の1文に、都内に留まる場合は命の保証はしません"
って載っちゃってるよ。
「あれ?これ…首都終わった?日本ちゃっかり潰れてない?」
いや、潰れる訳は無いんだけどね?
いち早く国の運営に携わる人々は退避してるだろうしね
火華達を派遣しているって事は内情を知っていたって事だろうし
俺は、SNSのコトダマを開き確認する
多くの人が化け物や怪奇現象に出会ってコトダマを発信してる
心の底からの言葉、まさに名前の由来言霊
なんて馬鹿な事を言ってる場合ではないな。
「火華さん?これやばくない?」
俺はスマホを火華に渡すとカクさんと共に見ていると
2人の顔は段々と曇って来た
「こう兄どうしよ?これやばいよもう全国の陰陽師や退魔師を招集しても収集つかないよ」
「知らん、そして世界各地の異界の連中もこの騒動に呼応してるだろうからな。陰陽師、退魔師、祓魔師、霊媒師どのグループが覇権を握るかなんかわからん」
えーっと意外と対応できる人は世界各地に居るらしいな
まぁ、俺達なんて最前線でアホな会話してる位だから居るか
今都内の人は、いきなり住む場所や安全を奪われ絶望の淵に立たされているだろうが
そもそも、家なしいきなり襲われたり縄張り争いしてる様な俺達、ホームレスにとっては日常茶飯事だから意外と平気なんだよな
結局変わらないし、寧ろ残された食料品を好きに出来ると考えると得ですらある
「お!首相会見やってるっぽいですね。観てみますかね」
俺は火華に渡してるスマホの中で緊急の首相会見が流れていると情報があったのでそこにタッチする
『日本国民の皆様、遅くに申し訳ありません。今現在東京都内では危険な生物が数多く徘徊しています。警察・自衛隊が対応をしながら避難誘導をしています。危険な生物が何かは情報が錯綜しており、何が正確な情報か分かりかねます。何よりまずはご自身の命を守る行動をとってください。緊急対応の末、政治の中心を京都と大阪に移す予定です』
動画はここで終わりだったが
「首相早いな。場所の記述は無かったけど既に大阪に避難してるじゃんね」
そう苦笑いするしかなかった
そんな事を言うと火華が
「あーあのおじいちゃん達は、私達がこう兄に結界の崩壊の連絡を聴いてあの人達に連絡した時点で既に逃げてたよ?」
うわぁ、流石我が身を守る行動だけは早いな
この日、静かに日本の大都市は終わりを迎えた
◇
次の日の朝
俺達ホームレス組はいつも通りの朝を迎えていた
避難?今の所する気はない。
火華とカクさんのお姉さん(意識がなかったので名前すら聞いてない)が目を覚まして無いし
移動する方が大変だからだ
街中を散策していると、血痕が至る所に着いていた
そして、流石はホームレス周りがどんだけパニックになろうが関係ない様だ
俺達も変わらないけどね。
そう、食料品と武器になる物を探しに来ている様だった
住めば都って言うけどね最初の1ヶ月は本当に辛いんだけど人間慣れるとねそれがとても快適に感じるんだよね!
「保存食と生鮮食品をより多く仕入れるぞ?いつ電力供給が止まるか分からんしな」
そう今は電力供給がある為にスーパーや大型ショッピングモールに行けば飯に有りつけるがそれもいつまで続くか分からない
「それと、惣菜貰いましょうよ?腐る前に食べないと臭い酷くなって入りづらくなりますよ?」
俺がそんな事を言うと皆惣菜コーナーへ向かう
「ん?なんだ?テメェら?」
若い10人位のグループとかち合ってしまった。
「ねぇ、リーダーアイツら武器持ってますよ!刀に槍どっから手に入れたんだ?」
人間の適応力の高さには呆れると共に賞賛を与えたくなる程、盗賊っぽい彼らだ
俺らも変わらんがね。
ニヤニヤした顔して、俺とカクさんの武器を見つめる彼ら
「ん?なんだ?武器が欲しいのか?ほれ触れるなら触ってみろ蒼鬼!」
カクさんはそんな事を言うと槍の棒の部分を彼らに差し出すと
持ち手部分から火を吹く
「うわぁなんだこれ?」
めっちゃびびる若人達。
「ほれ、欲しいんだろ早く触ればいいだろ?」
ニヤニヤしながら火を吹く持ち手を差し出すカクさんこの人が1番楽しんでるな
「アチィアチィなクソ。ここは一旦引き上げるぞ!」
そんな事を言って彼らは逃げて行ってしまった
「キャンプ用品店に行けば斧やナイフ位有るだろうにね」
俺はそんな事を言うしか無かった
「まぁ、それは時代って奴だ。彼らはネット1つで宅配便が届くこれが当たり前だろ?専門店に行って買うっていう発想がまず無いんだろうな」
そんな会話をした後に、俺達は拠点へと戻った
とりあえずの戦利品は
・米
・野菜
・肉
・魚
・調味料
・惣菜
・服
こんな物だ。
ちなみに服は火華ともう1人の女性の服がボロボロだったので俺が持ってきた物だった
まぁ、センスは自分で壊滅的とわかっているから拒否られたら燃料にしてやるけどな!
1番困ったのは下着だった。
昔同級生がサイズが合わないと大変だって言ってたのを聞いて大変だなって思ったので適当に一般的なサイズ…彼女達の大きさを思い出し何となく3つ位の幅のゆとりを持って
手に入れてきたのだが、あの時のカクさんのニタニタはとても辛かった
「カクさん恨んでますからね?そもそもご自分の兄妹何ですから面倒見てくださいよ!」
「タイガがやけに面倒見が良いから任せようかなってな」
面倒くせーなんて思いながら俺達は、急いで拠点に戻る
ちなみにカベさんとシエさんは焼き鳥の移動販売車を見つけたのでそれで河川敷に向かった
俺達は車より、顕現武器の力で体を強化して走った方が早いので走っている
リアルバルクールってやつだな。
拠点へ着くと、もう1人の女性が目を覚ましていた
荷物を置いていくとカクさんが抱き締められていた
「雷光!どうして今まで連絡もよこさなかったの!」
とわんわん泣いている
「あらあら、おモテになるねぇ」
なんて俺は揶揄う事を忘れない日頃の恨み晴らさねば
ニシシ何て心の中でほくそ笑んでいると
「姉貴、仲間が見てる前ではやめてくれよ」
とポリポリ頭をかいている
あら?といった表情をすると、俺の方を見ると
「雷光の仲間?初めまして。姉の風華です」
と一礼した時に顕現武器の紫霧に視線が向くとぶつぶつ呟きだす
「どうして?市井の者達の中に顕現武器が?何処からか情報が流出した…?」
何て小声で話し出す
「カクさん、いや雷光さんってそろそろ呼んだ方が良いのかな?もしかして顕現武器は一般人の俺が知っちゃいけない力だった?」
カクさん改めて、雷光は
「本来はな、でも俺が何もしなくてもお前は命の危険に晒されれば勝手に覚醒してたと思うぜ?」
「あ、火華!これ。正直使い勝手とか、サイズとか分からなかったから適当に袋に入れて持って来たからほれ!」
と服や色々必要となる物を入れた袋を投げ渡す
「ん?ありがと。何サイズ?どゆこと?」
何て言いつつ袋を開けて中を見ると顔が赤くなっていく
そしてタグをみた瞬間に
「私こんなに小さくないもんっ!」
と下着1枚顔面にぶん投げられた。
えぇー…だからサイズ何て知らんよ
「知らんがな。そもそも俺達男はカップがどこで決まるかも知らんのに。極地的に大きい、普通、小ぶり位しかサイズ何て分からんしな。火華みたいに若い人にド直球に服持ってくるからサイズ何?なんて聞いたら血祭にあげられそうだし」
雷光はゲラゲラと先程のお返しだと言わんばかりに笑っている
そして火華が俺に投げつけた下着を拾いタグをみる
「ふむ、火華のサイズは、なになに「ダメ!言わないで!こう兄のバカっ!エッチ!変態!」」
こんなアホな会話をしながら今は安全で落ち着けてる状況を楽しむしかなかった
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