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第11話

火華が帰った後、皆で話し合い

夜に備えて寝ていたーー


「熱い、熱いから!何?」


ーーが急に右肩から胸にかけて急激に熱さを感じて飛び起きた


辺りは、既に真っ暗

そして、俺の体には炎の羽織を羽織っていたって言うより

周りに火花が散っていて空間に火の粉が飛んでる状態になっていた


「ど、どうした?タイガ?」

カベさんとシエさんも俺の驚いた声か聞こえ起こしてしまった様だ


「すみません、急に羽織が顕現してて今のこの状況でして」


俺はスマホを取り出し時間を確認する

23時25分


意識が覚醒して、羽織がこれだけ爛々と熱を放っているのに寒気が止まらない


「カベさん、シエさん寒気が止まらんです。これやばいんじゃ…」


2人は首を傾げている

カクさんの方を見ると、カクさんは月を見上げて誰かと酒を交わしていた


ムキムキ筋肉ダルマのおっさんと

俺は、その2人の側まで歩いて挨拶をした


「初めましてかな?蒼鬼様ですかね?カクさん」

ムキムキのおっさんはガハハと笑う


『こうの奴が弟子に取っただけあって、力が高いの。この状態で会うのは初めてだな』


頭の中に直接声が聴こえるが、怖い様な安らぎを覚える様な不思議な声だった


「お?タイガもやっぱり起きたか、異常事態発生って奴だなお前の刺青が勝手に反応する程今は瘴気って奴が高い状態だ。精神的に不安定になりやすいから護ってくれてるんだろうな」


俺はその話を聞いて、羽織にありがとうと伝えた

すると…


『私には?感謝のお礼の言葉はないの?』

14~6歳位の女の子が俺の横に立つ


「あはは、やっぱり君だったか。いつも人生の岐路で毎回俺を救ってくれてありがとう。でも君はいつも名前を教えてくれないじゃないか?」


ふふふと微笑みを浮かべ彼女はぺろっと舌を出す

『しょうがない子ね。1回しか言わないからね?私の名前はね"紫霧(しきり)"よ』


「紫霧か。これからもよろしくね」


「くそ!タイガずるいぞ!めっちゃ可愛いじゃねえか!」

カクさんが物凄い勢いで俺に向かおうとすると


『むっ?儂で何か不満かこう?』

ガシッと肩を蒼鬼に掴まれる、冷や汗をダラダラとかき始めるカクさん


うわぁーコブラツイストかけられてるよ

カクさんの悲鳴をよそに


「へぇ、タイガとリーダーの神様がそこに居るのか。俺達には見えないからな」

とガックリ項垂れるカベさんとシエさんが居た


「え?お2人には見えてないんですか?」

俺は普通に見えていた為とても驚いた


『でもこの分だと、瘴気の影響ですぐに視える様になるわよ?』

紫霧がそんな事を伝えてくる


『あ、後その不死鳥あなたが自分の意思で入れた物が人格を持った子だから名前はタイガが付けてあげなさいしっかりあなたを護ってくれているのだからね!』

メッ!っと人差し指を立てて、あざといポージングをする紫霧に顔が紅潮してしまう


「わかったよ。燐音(りんね)輪廻転生の輪廻と火を扱う事から取った名前でどうかな?音は俺と紫霧が波動を感覚的に捉える戦闘技法だからそれに掛けて見たんだけど」


名付けの意味と理由を言った途端、今までは唯の右腕に巻いてある布か今の燃え盛る羽織だったのが

赤い腕輪になり、火の粉みたいなのが浮いてる範囲と数もめちゃくちゃ増えた


すると、空に浮かんでいた火の粉が集約され

鳥の姿になるとこちらに近づいて来たと思うと目の前で

小さな女の子の姿になる


『初めまして我が主、只今拝命して頂いた燐音でございます』

「初めまして、そして10年も俺を護ってくれてありがとうこれからもよろしく頼むよ。あ、後そんなに堅苦しく無くていいよ?」


そう言うと彼女は

『そ、そ、そんな事をしたら、紫霧様に怒られてしまうのでは?紫霧様と私では格が4つか5つ違いますし…』

指をモジモジとしてそんな事を言う燐音


『タイガがそう言うなら良いんじゃない?生まれたてのお子ちゃまに嫉妬する女なんて居ないわよ』

『ありがとうございます。紫霧様』


「くそー!なんだそのハーレム的展開は師として認めんからなタイガー」

カクさんの大声が聞こえたので振り返ると


えー……逆エビ固め食らってなんであんなにあの人元気なんだろうか


『おおう、儂じゃ不満なのか?こうよ?ほれ言ってみろ?』


そして蒼鬼様は楽しんでるなあれ


『馬鹿な爺さんはいつまで経っても馬鹿ね』

紫霧がそんな事を言い出す


『お主も何千年ぶりかに表に出てきたと思えば随分と不思議な子についておるの』


「え?2人は知り合いなのか?」

俺はついつい質問をする


『儂らは昔、大妖怪なんて呼ばれた事もある存在だからの。数千年小さな島国で暮らしておればそこそこ変わり映えのしない奴は記憶に残るの。それに儂は今で言う青森、岩手、秋田あの辺で遊んでおったが。こいつは山形、福島、新潟辺りで遊んでおって縄張りが近かったからの』


『余計な事を言わないの?これ以上オイタするなら不幸を呼び寄せるわよ?』



おー怖っ紫霧は昔の事を聞かれたく無いんだろうな。俺の事情全部知ってるだろうし

「八百万の神様復活するかなこれは」


そう、昔の日本は"八百万の神"

それは神様が八百万居たのでは無く

神様には善悪の感情が無いという思想の元

畏怖する対象全てを神様にしたのだ


悪さをする奴でも、讃えてお供え物をして機嫌を取り

良い事をする奴には、お供え物と祝い事をして守り神になって貰おうとする


つまり相手が何者かなんか関係なかったのだ

不利益を鎮め、利益を最大限享受する為の言葉でもあるし


何か連続で悪い事が起きても、厄災を起こす神様のせいにして精神を抑えていたとも言える


今回の封印結界が壊れたおかげで平安時代には皆が皆ほぼ見えていたとされる時代に舞い戻る事になる


「なぁ?紫霧?蒼鬼様?今回結界が壊れると何が出てくるのか分かるのか?2人は結界が生まれる前から生きてきた訳だし知ってるよね?」


俺は、純然たる疑問を投げ掛けている

俺達の相手は敵なのか?それとも災害なのか?

全く分からないのだから、正直相手は地球の世界各地の活火山の噴火の規則です

それを停めて封印しました何て言われても俺にはどうしようも無く滅亡を止める力なんて無いし、受け入れるしかない


まぁ、相手が人格があるのは今なら分かるのだが

そこはかとなく漠然とした怒りの感情の大波が先程から伝わってくるのだ


燐音が境界作り護ってくれているのにも関わらず伝わってくる巨大な力の波


悲しげな顔をしている紫霧

ふぅ、とため息をつくと話し始めてくれた


『それは、勿論知っているわよ?まず昔から神様と崇められていた者達には2種類居るの。それは人間にとって"利益になる神"と"不利益になる神"ここまでは良い?』


俺とカクさんは頷く

『もっと細分化するとね?"自然と生まれた奴"と"人から生贄や思想・念で生まれた奴"に別れるのよ私とこのオッサンは後者ね。人の行動、思念、生贄から生まれたから人に対して良い思いを抱いている方よ?私はタイガのみだけね。他の人はどうでも良いわ。そこの鬼は戦闘狂の阿呆だけどお供え物を貰ってるうちに軟化したパターンね』


ガハハと笑いながら蒼鬼が話を引き継ぐ

『そう言われると儂も何とも言えんのう。確かに儂は合戦場で人を斬り過ぎた結果堕ちた鬼だからの。いつの間にかお供え物の酒を見てるうちに気持ちが鎮んで理性が戻っておったわ』


『それで今回の封印から這い出てくる連中は何千、何万年経とうと一切合切怨念や概念が消えない連中と妖怪として化け物扱いされてた連中ね(ケガレ)や不浄の者と呼ばれてた連中ね。タイガは感じてるんでしょう?』


その質問はこのすごい勢いのある荒ぶる感情の波の事を指してると思ったので頷く


「タイガ何を感じてるんだ?」


「燐音の境界の外は瘴気とただただ只管怒りの感情の波動が物凄いですよ?多分解いた瞬間カベさんとシエさんは気絶するかも?」


『多分、大丈夫じゃないかしら。それでも境界を解くのはダメよ?この感情を読み取れるタイガとそれにこのオッサンの使い手が近くに居るのがバレると興味を引いてしまうから。怒りは多分月詠(つくよ)のものね。彼女は日本創世時に日本を護る結界の核として使われたのに交代の時期が来ても人間は忘れて放置しちゃったからね』


「それって結局人間の方が悪くないか?」


カクさんがそんな事を質問すると

紫霧は首を振る


『そもそも、次の核となる神が視える者に話をすれば早かったのよ。なのにそれをせずに寧ろ月詠が出てこれない様に結界を増やして尚且つ面倒な連中を月詠の元へ送り込んだのよ刺客としてね?結果がこれだけどね?全員子分になっちゃってるんじゃない?これだけの瘴気が立ち込めてるとなるとね?』


「紫霧詳し過ぎない?」


『それはそうじゃろう?儂らも中々順番が来なくて首を傾げて居て月詠の事を確認しに来たらガッチガチの封印になっておったんじゃからの』


「え?2人共核になる予定だったの?」


俺達は驚いたと共に、あれ?これは攻撃対象になるんじゃ?と不安を覚えた


『大丈夫よ?タイガ。私達はね?過去に月詠を救出しようとしたんだけどね?月詠に拒否されちゃったのよ。裏切り者をぶっ殺す為に準備中だから救出は要らん。必要があれば勝手に出るとね』


すげえサバサバしてる人いや神様だな月詠さんは


「あ?誰か来る?」

『主様こちらに4人の人が向かっておりますが私めの境界を越えられずギャーギャー喚いてます』


燐音が出て来て説明してくれる

「燐音、入って来ようとしてる人を視る事は可能?」


『行けます!私の視界を共有致します』

右目の視点が切り替わる


4人の人のうち、1人は知ってる顔だった

火華だ…面倒事を持ってきた気がする


「カクさん、火華と他3名がこっちに来ようとしてるよ?どうする?」

俺は面倒事は全てカクさんに渡す事にした



うへぇみたいな顔をする

「しゃーねぇか。有事だしなタイガ悪いな。通してやってくれ」


「燐音頼むよ」

そうお願いすると

『かしこまりました』

燐音は一礼すると、火を吹き消える


『酷い臭いが鼻につくわね、私もタイガの中に戻る』


『これはめんどくせぇなぁこうよ!儂らも居ない方が良さそうだ』


蒼鬼様、紫霧共にスゥっと薄くなり消えていった

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