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13-8 クコの暴力
やがて母さんは、好きになさい、と言い捨て出ていった。
なんだよ、僕にこんなことを言わせたのは母さんじゃないか。
僕だってものわかりのいい自慢の息子ってことに誇りを持ってたんだ。それをこんな立場に追い込んで。
悪いのは母さんだ、父さんだ、グミだ。
だんっ、ともう一度机を叩いた。
さっきの音の大きさを意識してしまったのか手加減があった。机ひとつも思いきり叩けない自分と、机を叩きつけるという乱暴な自分。相反するどちらの自分にも嫌気が差した。
最低の気分に、いっそ、宇宙へ飛び出してしまいたかった。
全周を星々に囲まれて、上も下も、音も熱もない真っ暗な空間を、運動の第一法則に従って、ひたすらにどこまでも飛んでいく。こんな狭い船内で悪感情を増幅しあうよりよっぽど健全じゃないか。悪くない考えだと思った。
――実行する手段も勇気も持ちあわせていないくせに。
今なら、船になにかが衝突してもいいと思った。
小石程度でじゅうぶんだ。秒速三十キロメートルもあればいい。その運動エネルギーで船は大破する。衝撃に巻き込まれたら即死だろう。苦しむ間もなく全部が終わる。六十世代以上もの長きにわたった船団のすべてが。
馬鹿げた暗い妄想に、僕はいつまでも浸った。




