13-5 クコの暴力
「殴ったのはグミだ。何回も僕を殴った。僕は被害者だ。怒られなきゃいけないのはグミだ」
僕は代わる代わる両親の顔を見た。不信感の混じった四つの目が僕を見すえている。
――まただ。またふたりそろって僕を責める。
グミの肩ばかり持つことが悔しかった。泣いているグミが忌々しい。泣けば味方してもらえるんだから。
「話はあとでグミから聞く」父さんが鼻でため息を漏らした。「おまえは部屋に入っていろ」
僕の部屋のほうを指差す父さんに「なんでっ」と抗議の声をあげた。
「騒ぎを起こした罰だ」
「僕はなにも悪いことはしてない。悪いのはグミだ。グミが勉強の邪魔をするから――」
後ろ暗さはあったけど、それを押し隠し精いっぱい自身の正当性を説いた。
だけど僕の言葉は聞き入れられなかった。
「言いわけはもういい。部屋に行け」
「嫌だ。僕は行かないぞ」首を振って拒否を示した。あんな屈辱的な思いはごめんだ。
父さんが僕の手首をつかんだ。「引きずって連れて行かれたいのか」
その威圧に僕はショックを受けた。父さんからこんな扱いを受けるなんて。幼いときにでさえ一度もなかった。僕という人間を、真っ向から否定された思いだ。
話は聞いてもらえないし、自尊心は粉々に砕かれる。これ以上惨めな気持ちを味わうのは耐えられなかった。
父さんの手を振りほどく。
僕はなにも言わず、憤然とした足どりで自室へ向かった。




