表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と許嫁《かのじょ》の宇宙生活  作者: みさわみかさ
閉じられた宇宙船《ふね》
80/203

13-4 クコの暴力

 グミが泣きじゃくって母さんにすがる。母さんはその頭を胸に抱き、なでつけながら、大丈夫、と尋ねた。泣きわめくばかりで明瞭な返事はない。再び厳しい視線が僕に向けられる。


「こんな暴力を振るうなんて」「叩いてないっ。グミのほうが僕を殴ったんだ」「じゃあ、どうしてこんなに泣いてるのっ?」「知るもんか。僕に注意されたからだろ」「注意というのがぶつことなの?」「だから叩いてないって言ってるじゃないかっ。殴ってきたのはグミのほうなんだっ」「なんの騒ぎだ?」

 

 母さんとは反対の通路から父さんがやってきた。

 

「あなた、クコがグミに手をあげたのよ」「なに?」「だから違うって言ってるだろっ」「その口のききかたはなんだっ。グミになにをした?」父さんまで強い口調で詰め寄ってくる。「押さえつけて殴っていたわ」「おまえという奴は」


 母さんの無責任な証言で父さんの顔色はますます険しくなった。グミは一向に泣きやまない。母さんが冷たいまなざしで僕を見ている。怒りと失望でめまいがしてきた。


「叩いてないって言ってるのにどうして信じてくれないんだよっ。叩く振りをしただけだ」


 嘘だった。母さんが止めなかったら殴っていた。でもこう言わなければ立場はもっと悪くなる。僕は声高に主張を続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ