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13-3 クコの暴力
「うあああ!」
半身が飛ぶ。
僕は床に横転した。
突き飛ばしてきたグミが続けざまに僕を殴りつける。
「このっ、このっ」
「うっ、やめっ……」
腕に、肩に、胸に痛みが走る。赤い顔のグミは手加減なしで拳を振るう。奴はもうある程度体が大きく、本気で暴れるとかなりの力だ。
僕はグミを振り払い、突き飛ばし返した。尻もちをついたグミはすぐに立ち上がった。間髪入れず向かってくる。僕も体勢をたてなおし正面から組みあった。
中学生と小学生だ。力の差は歴然だった。僕はグミを押し倒し馬乗りになった。
弟はじたばたともがく。離すもんか。よくも叩いてくれたな。
拳を振り上げる。それまで怒りに染まっていたグミの顔が怯えた色に一変した。このときいったい、僕はどんな形相をしていたのだろう。
「母さん、助けて! 兄ちゃんが!」
騒動を聞きつけたのだろう。グミが叫ぶと同時に通路から母さんが現れた。
「なにをしているの!」母さんの鋭い声が飛んだ。「グミを離しなさい!」
猛烈な顔つきで僕たちに迫ってくる。
「だってこいつがっ」「離しなさい!」
僕の言い分に目もくれず、母さんは、掲げた僕の手首をつかんで乱暴に引いた。
目をむいてにらみつける母さんに、僕は不承不承起き上がった。




