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僕と許嫁《かのじょ》の宇宙生活  作者: みさわみかさ
閉じられた宇宙船《ふね》
76/203

12-8 忍び寄る不穏はまず子供たちに

 それにしても。

 四人の家族がそろっているのに、聞こえるのは八つのナイフとフォークが食器に触れる音ばかり。ほとんど静まり返っているダイニング。

 いつからだろう。だんだん会話の量が減りはじめたのは。

 以前は、学校でなにがあった、友達となにして遊んだと話し、母さんや父さんも、早朝や夜ふけ、土日の午前や午後にコクーンで外出したときのことを語らった(平日の日中は子供が学校へ行くのに使用するし、大人はやることも多いので、外に出られる時間は限られる)。


 今や話題の源泉は絶たれた。

 初めのうちは、コクーンの解禁がいつになるかと進捗状況を父さんに尋ねていたけど、毎回同じ回答が続くうち誰も聞かなくなった。変化の乏しい船内で話の種など見当たらない。ストレスを抱えていく僕たちは、禍の門を閉ざすようになった。



 あの朝食での一幕があって以来、少しの間は小康状態が続いた。

 母さんのグミへの小言も減り、グミも比較的なりを潜めていた。僕も先日のことを教訓に、なるべく早起きができるよう睡眠について調べ、運動に励んだり寝る前の端末の使用を控えたりした。船内はつかの間の平穏を取り戻したかに見えた。


 しかし、各自の自制の上でなりたっていたそれは、実のところ危ういものだった。

 もとより精神的に高い負荷を強いる環境だ。より自戒を余儀なくされた僕たちは、大きなフラストレーションを抱え込んでいった。

 ぴりぴりした空気が常に張りつめる。僕も含めみんな表情が固いままだ。膨れあがる風船のように、きっかけがあればいつ破裂してもおかしくない状態にあった。


 そして、針は突かれた。

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