12-6 忍び寄る不穏はまず子供たちに
ベッドの上で膝を抱えた。むかっ腹がたってしかたなかった。こちらの言い分なんて聞いてもらえず、ふたりそろって僕を非難する。理不尽でならなかった。
部屋にいるよう言いつけられたのも不愉快だ。いたずらっ子のグミはたびたび受けるお仕置きだけど、(自分で言うのもなんだが)優等生タイプの僕はほとんどない。こんな目に遭うなんて屈辱だ。
たまらずベッドを叩きつける。こもった音が静かな部屋に響いた。こんな乱暴なこと、僕らしくもない。
ほとんど物のない室内は雑念を払わせる。頭が冷えてくるといらだちが後悔に移ろった。
なんて馬鹿なことを言ったんだろう。父さんや母さんに対する態度じゃない。あんな大声を出してみっともない。
どうしてあれほど感情的になったのか自分でもわからなかった。あのときはとにかくいらいらしてどうしようもなかった。
時間がたつのが遅い。部屋にはろくに物がなくてすることがない。
机の上の時計を何度も見た。遅々として進まない。
ときおり部屋の外から物音や足音が聞こえた。家族はみんなそれぞれのことをやっている。僕だけがなにもしていないのはつらかった。
勉強しなくちゃいけないのに。今の状況を打破するため、再びコクーンを使うために。窓もない壁、照明しかない天井を眺めて、もどかしいときを過ごした。




