11-10 コクーン禁止令
夕方、学校が終わるぐらいの時間になって、母さんから自習終了の許可が下りた。
グミは大喜びでタブレットを放り出しゲームに飛びつく。弟が遊ぶかたわらで僕は勉強を続けた。船について知るにはいくら時間があっても足りない。遊んでいる暇はなかった。
「まだ頑張ってるの?」
黙々とタブレットに向かっていると母さんがハーブティーを淹れてくれた。
「うん。少しでも早く父さんたちに近づきたいから」
僕はお茶に口をつけた。熱くかぐわしい液体が疲労に心地いい。
船の問題解決のため勉強をペースアップすることは、昼食のときに母さんたちに話してあった。
「あまり根を詰めないのよ」母さんはやんわり僕をさとした。「一日じゅう勉強ばかりしても効率はあがらないわよ。学習内容は睡眠を挟んで整理され記憶に定着するんだから」
「前に聞いたよ」
勉強方法については母さんから教わっていた。学生時代は母さんも成績優秀だったらしい。僕とマリーのように、昔は母さんと父さんも競いあって勉強したと聞いている。
「この子もあなたぐらい熱心にやってくれればねえ」
母さんは次男を見下ろしてため息をついた。グミは無邪気にゲームへのめり込んでいる。カップを傾けながら僕は苦笑いした。
ほどほどにするのよ、と言い残して母さんはキッチンに戻って行った。
その後しばらくして、ひとり遊びに飽きたグミがチェスを指そうと誘ってきたけど、僕は耳を貸さず勉強を続けた。
今はわずかな時間でも惜しい。人類の叡智の結晶を究明するにはとてつもない勉強量が必要だ。生半可なことでは追いつかない。
結局、夕食まで僕はテーブルにかじりついていた。




