表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/203

11-8 コクーン禁止令

「こら、グミ。またさぼってる」


 僕は顔を上げ、向かいのグミを注意した。彼のタブレットにはドリルの代わりに漫画が表示されている。これで何度目かわからない。少し目を離すとすぐ遊びはじめる。


「ちぇー、兄ちゃんは俺の先生かよ」

「今はそんなところだ」

「まじめな生徒会長さんは口うるさいんだから」


 ふくれっつらのグミを相手にせず、僕は自分の端末に目を戻した。

 まったく、手のかかる奴だ。母さんから、グミをよく見ておくように頼まれたけどこれほどとは。そういえば、学校の先生から授業態度がよくないと指摘される、と母さんがこぼしていたっけ。

 勉強ができないのかと思って見てやると、意外とグミはすらすらと解いていた。僕に似て頭は悪くないらしい。


「おまえ、やればできるんじゃないか。なんでちゃんとやらないんだ」

「だって勉強すんの面倒だもん。わかりきってることばっかやらされるし」

「おまえならまじめにやればクラスで一番になれるよ」

「一番だよ。ミリーがいなければ」


 面白くもなさそうに頬杖をついて、グミはタブレットに指を滑らせる。僕はいろいろとあきれた。こいつ、遊びほうけているようで成績はよかったのか。そういえばグミに勉強や宿題の相談をされたことなんてないな。

 そしてそのグミにトップの座を譲らないミリー。あの子もおてんばに見えて勉強も優秀だったとは。ふたりの日頃のやんちゃぶりからは想像がつかない。


 午前中、僕や、家事の合間に通りかかった母さんに尻を叩かれながら、グミはなんとか自習をこなした。

 僕は手際よく午前のカリキュラムを終えて、あまった時間で船の勉強を試みた。

 コクーンの制限で状況はより厳しくなった。一日でも早く専門知識を身につけたい。父さんや叔父さんに追いつこうと懸命にテキストを読み込んだ。


 だけど、当然ながらやはり相当に難しい。電気、機械、通信、情報。どの分野も難解な専門用語が並び、数学や物理の見慣れない数式とともに理解を阻んだ。

 僕のレベルでもわかる項目がないか探してみたものの徒労だった。どれも今の学習段階で手に負える代物ではなかった。

 結局、一足飛びに学びうるものではなく、中学、高校レベルと順を追って基礎を固めていくしかなさそうだった。

 まずは、自習のカリキュラムをできるだけ早くこなすことに決めた。幸い、学校の授業と違って自分のペースで進められる。

 午後も飛ばして勉強しようと考えながら、おいしそうな匂いの漂ってくるダイニングに向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ