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11-2 コクーン禁止令

 夕食を終えてリビングでグミとゲームをしていたときだった。

 父さんと母さんがそろってやってきて、話がある、と僕とグミに言った。

 ゲームを一時停止して振り向く。父さんは、だいじな話だからやめるようにと指示した。グミは不満そうだったけど、様子を察した僕は従い、両親に体を向けた。


 父さんたちがソファーに座って僕たちを見下ろす。いつも以上に表情が固い。嫌な予感がした。


「明日から学校には行かなくていい」


 父さんの切り出しで僕はすぐにことを理解した。グミが、なんで、と不思議そうに聞く。


「コクーンを使わないことにしたの」


 想像したとおりの内容を母さんが告げた。グミがまた、なんで、と同じ疑問詞を口にする。

 「危ないから?」とおずおず尋ねる僕に、父さんは、そうだ、とうなずいた。隣のグミだけが、だからなんで、と繰り返している。

 母さんが、いいきかせるようにグミの顔を見た。


「船の調子が悪い原因がまだわからないの。このままだとコクーンの動作に影響があるかもしれない。使用中になにかあれば取り返しのつかないことになるわ」

「なんで? ハッチが開かないだけじゃないの? ていうかもうちゃんと動いてんでしょ?」


 やつぎばやに質問するグミに、父さんは首を横に振った。


「そんなに簡単な問題じゃないんだ。システム、ウラヌスを相当調べたが未だに原因が特定できない。次はどこにどんな影響が現れるかわからないんだ」


 父さんは座りなおしてグミの目を見つめる。


「コクーンは極めてデリケートなデバイスだ。使用時に脳におよぼす危険は計り知れない。コクーンの夢での死が現実化するように。万が一のことがあってからでは遅いんだ」

「叔父さんや叔母さんともよく話しあって決めたことなの。わかってちょうだい」

「そんなこと言ったって困るよ。俺、明日も友達と遊ぶ約束してんだよ」グミは立ち上がってソファーの両親の腕を引いた。「ねえ、父さーん、母さんってばー」


 グミ、と母さんがさとすようにグミの頭をなでたけど、弟は聞きわけなく両親にせがむ。

 僕だって、分別のつく歳だからこそグミのように騒ぎはしないけれど、気持ちは同じだ。

 今日、ほかの友達と同じように、マリーにもいつもどおり、また明日、と別れた。船では顔をあわせられなくても、学校では変わりなく会えるものとばかり思っていた。それが。


 彼女にまったく会えなくなる。


 そのことの意味が僕の頭には染み渡ろうとしなかった。あるいは脳が拒否したのかもしれない。あまりにことが重大で思考がストップしているんだと。防衛本能が働いてそれ以上の理解を阻止しているんだと。

 考えてはいけない。考えてはいけない。考えては――

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