10-6 クコの浮気
下校を促す校内放送が流れて生徒会活動は終了した。
窓の外でも部活動が片づけに入っていた。生徒会メンバーは用紙や筆記用具をしまって退出していく。
僕は逃げるようにそそくさと出て行こうとしたものの、マリーに捕まってしまった。一緒に帰ろうと言われて断るわけにもいかず、ふたりそろって生徒会室を出た。
廊下ではお互い終始無言だった。
彼女はなにか考えごとをしているかのようで、目も合わせようとしない。彼女にしては不自然な態度だ。やはりプライのことに気づいているのだろうか。
くじいた足をかばっているのを見かねて、肩を貸そうと申し出たけど、いい、大丈夫、と言われてしまった。いよいよ雲ゆきが怪しくなってきた。
あまり歩き回れないので、ということで学校近くの公園にやってきた。
そう広くはなく、数人の子供が遊具や広場で遊んでいた。僕たちはふたつあるベンチのひとつに座った。
夕方の空はまだ明るかった。日がどんどん長くなってきている。日暮れまではまだだいぶあった。
本来なら彼女と止めどない話をしているところだろう。船のトラブルがあって今後どうなるかわからない現状ではなおさらだ。話は尽きないはずだった。それなのに。
おしゃべりな彼女は貝のように口を閉ざしていた。一分でも二分でも。五分でも十分でも。子供たちのはしゃぐ声と通り過ぎる車の音だけが虚しく聞こえてくる。
なにを考えているんだろう。どういう心境でいるんだろう。プライのことなんだろうか。だとしたらどう話せばいい。
沈黙に耐えられなくなって口を開きかけたとき、彼女が遠くを見ながら言った。
「やっぱりプライとなにかあった?」




