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10-3 クコの浮気

「はあっ?」すっとんきょうな声とともに足を止めてしまうには十分な問題発言だった。「急になに言いだすんだ」


 彼女は猫の目で僕の顔を覗き込む。「先輩みたいなハイスペックな人に憧れるのって、マリー先輩だけじゃないんですよ」

「か、彼女は親同士で結婚を決めてるだけであって、別にその、そういうあれじゃあ」


 あっけらかんとしている彼女に対して、僕のほうは情けないほど動転していた。どっちが上級生だかわかりゃしない。


「先輩のこと、前からいいなって思ってたんですよね。生徒会で話す機会ができてうれしい」

「いや、あの、そんなこと言われても困るよ」

「マリー先輩がいるからですか」


 彼女がどうとか以前に、憧れてるだのデートしないかだののセリフに動揺している。僕はこういうことがからっきし苦手なんだ。勘弁してほしい。

 窓から差し込む、春にしてはやけに暖かい陽光のせいだろうか。僕は軽く汗ばんでいた。


「先輩のこと横取りするつもりはありませんよ。泥棒猫にはなりたくないし」そう言う彼女は獲物を狩る猫顔だ。「マリー先輩には内緒であたしともつきあってほしいんです」

「だめだって」二股をかけろと言うのか。いや、別にマリーは彼女というわけじゃあ……。


「あたしのこと、嫌いですか」上目づかいにプライは迫る。妙な自信を帯びていた。

「嫌いじゃないけど……」

「じゃあつきあってください」


 どうしてこうも堂々としていられるんだろう。いわゆるその、告白、というやつなんだろう、これは。もっと遠慮があってもいいと思うんだけど。言ってることむちゃくちゃだし。


「だめなものはだめだってば。ほら、片づけがあるんだろう。行くよ」

「あっ、待ってくださいよー、せんぱーい」


 彼女を振り払うように僕は歩きだした。幸い、ゆく先の廊下にはほかの生徒の目があって、彼女は一応、おとなしくしていた。

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