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10-1 クコの浮気

 静かな時間が流れていた。

 生徒会室には数人の生徒がいた。長方形に並べた折りたたみテーブルの前に座り、各自、役員の仕事に取り組んでいる。

 窓の向こうにはサッカー部の練習風景が見えた。グラウンドの大部分を占拠して使っている。うちの学校はサッカー部が強く、生徒会での予算要求でも優遇される。

 ちなみに僕は野球部だ。これでも一応、キャプテンを務めている。

 が、部は弱小。部員は六人しかおらず、グラウンドの中央は週に一度しか使わせてもらえない。こうして生徒会活動に出ていてもなんの差し支えもなかった。


 今はボランティア活動の企画書を作成しているところだ。会長と副会長の主導で実行するよう学校から指示されていて、僕とマリーで分担してやっている。

 立案から実行まで全責任を負わされるので、この段階で後先を考えていないと自分たちの首を絞めることになる。僕たちは頭を絞って机上の紙と向きあった。


 彼女の調子はどうだろう、とときおり横の彼女を見た。熱心にペンを走らせている。

 僕の視線に気づくと、声で応じる代わりににんまりと表情を作ってみせ、じいっと見つめてきた。訴えかけるような、それでいていたずらっぽい目。

 居心地が悪くなって顔を伏せた。そんなまじまじと見て、僕に穴でも開ける気か。平穏な生徒会室で不釣りあいに脈が速まる。頼むから僕をどぎまぎさせないでくれ。


「失礼しまーす」


 女子生徒が生徒会室に入ってきた。おととい、ボーリングに行ったときにからんできたプライだ。彼女も生徒会のメンバーだ。僕の姿を見つけて、亜麻色のショートを揺らせ近づいてきた。


「クコ先輩、資料室の整理を先輩に手伝ってもらうようにって先生から言われました」


 わかった、と僕が立ち上がるとマリーも続いた。「私も行く」


「君はいいよ。足が痛むだろ」

「そんなに大したケガじゃないし」

「いいって。安静にしておかないと早く治らないよ」

「そうですよ。マリー先輩は来なくても大丈夫ですから」プライが同調した。


 マリーは不服そうだったけど、結局、僕の意見に従い椅子に座りなおした。

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