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8-3 懐かしのお泊まり

 ひとりになって改めて室内を見回してみた。内装はどの部屋も同じで代わり映えはしない。机にタンスにベッド程度。せいぜい好みでそれらの配置が異なるぐらいだ。殺風景。外界から隔絶された船のなかでは、個性を出せるものはそう多くない。コクーンの夢で初めて友達の家へ遊びに行ったときのことを覚えている。色とものにあふれている部屋に驚いた。壁にはカレンダー、机には本、床にはおもちゃ。行く先々の家でバリエーションは異なっていて世界の広さを実感した。翻って僕たちの住む船内の味気ないこと。まあ、生まれたときからの環境だから今さらどうということはないんだけれど。


 明かりを落としてベッドに腰かけた。僕の部屋と同じサイズと弾力だ。大人になっても使うものなので各部屋に違いはない。それでも女の子のベッドだと思うと妙に緊張する。僕は遠慮がちに布団に入った。ミリーの匂いに包まれる。いけないことをしているような気分になってどきどきしてきた。落ち着け。無断で入り込んでるわけじゃないんだ。ちゃんと許可はもらってる――本人には大反対されたけど。これは不可抗力、しかたなくなんだ。早く寝てしまおうと目を固く閉じた。が、寝ようとすればするほど目がさえてしまう。なかなか眠れない。


 マリーの家に泊まるのはいつ以来だろうか。小さい頃はときどきお互いの家で泊まって遊んだことを思い出す。彼女と同じベッドで寝るのは楽しかったなあ。明かりを消してもいつまでも話していて母さんや叔母さんに怒られたっけ。懐かしい。小学校にあがってしばらくしてお泊りはさせてもらえなくなった。もう大きくなったんだから、と言われて。当時はまだ意味がわからなかった。まるでさっきのミリーみたいだ。僕はくすりと笑った。

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