7-4 おしゃまなミリー
「はあ……はあ……」「ふう……ふう……」
僕たちはランニングマシンの前にへたり込んで息をきらせた。滝のように汗が滴る。エアコンのそよぐ風が心地よく熱を奪ってくれる。
「クコ、速すぎ……」「マリーこそ……」
結果はまたしても僕の負けだった。いい勝負だったけどわずかにおよばなかった。
「もうちょっと差をつけるつもりだったんだけどなあ。危うく負けるところだった」
「僕だっていつまでも君に後れをとるわけにはいかないからな。そのうち追い越す」
「それはそれでなんか楽しみかも。私に勝っちゃうクコってかっこいい」
「なんだよそれ」
ふたりして肩を上下させ笑いあった。
「あらあら、ふたりとも汗びっしょりね」
ランニングマシンの部屋にやってきた叔母さんがくすくす微笑んだ。母さんに似ていて、ワインレッドの髪をシニョンにまとめている。
「クコ、くたくたでしょ。うちで食べていったら」
「いいね、そうしなよ」
叔母さんと彼女に誘われて僕はうなずいた。汗を洗い流すよう促されシャワーを借りた。男のほうが多いうちのバスルームと比べて、彼女の家のはどこか違う匂いのように感じる。ただの気のせいかもしれないけど。
温かな雨が頭から降り注ぐ。自分の家で浴びるよりも気持ちよく感じられるのはなぜだろう。いつまでも浸っていたくなる心地よさ。だからといって長々と湯を使い続けるわけにはいかない。船が一日に処理できる水の量には限度がある。そうとう無駄づかいをしなければ問題はないけれど、やはりよその家の水だ。僕も遠慮というものは知っている。彼女も順番待ちをしているし。心持ち急ぎめに体を洗い流してバスルームを出た。さっぱりしてあがった僕と入れ替わりで彼女が入った。




