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6-2 やきもちマリー

 放課後、僕たちは男子三人、女子ふたりのメンバーでボーリングをしに行くことになった。今のところまだマリーとは話せていない。ゲームをする間に言葉を交わそう。


 春の心地よい青空が広がっていた。みんなで遊び歩くには絶好の天気だ。僕たちがそろって校門を出ようとしたときだった。後ろから走って声をかけてくる女子がいた。プライだ。亜麻色のショートを躍らせて僕たちに追いつく。


「先輩たちどこか行くんですかー」

「お、放送委員。ボーリングだよ」ビシーが答えると彼女は目を輝かせた。


「いいなー。あたしも行きたーい」

「おう、来るか」なんて安請けあいでビシーは応じた。喜々として彼女は仲間に加わる。この子は人見知りというものをまったくしない。上級生のグループでもお構いなしに割り込んでくる。図々しい一方で人あたりはいいから誰にでも好かれやすい。得をするタイプだ。よけいなおしゃべりをするくせがなければかわいい後輩なのに。


 僕たちは学校近くのボーリング場に来た。ちょっとだけ古びた印象のある、どこにでもあるような店だ。今の時間、客はまばらだった。僕たちは同じレーンでプレイすることにした。この人数なら待ち時間も長くマリーと話しやすい――はずだった。


「クコ先輩ってー、ボーリングも超うまいんですね。スコア、トップですよ、トップ。ほんとスポーツ万能じゃないですかー」


 僕の隣に座ってべらべらしゃべっているのはプライだった。僕が投げているとき以外はつきっきりだ。ビシーが気を利かせて間に入ろうとしても、上手にあしらってまとわりつく。それはゲームに登場するスライム状のモンスターを連想させた。そのうちビシーもあきらめてしまい、グループのほかの連中としゃべっている始末だ。助けてくれよっ。友達がいのない奴め。


 肝心のマリーはというと、仲のいい女子とずっと話していて、僕とは目を合わせようともしなかった。二ゲームプレイしたけど終始この調子だった。結局、彼女とは一言も会話できずじまいでゲームを終えた。これじゃなにをしに来たのかわからない。


 店を出て解散後、僕は彼女に声をかけようとした。しかしそれより先に彼女はログアウトしてしまい、姿を消した。どうも避けられているような。鈍い僕でもさすがにおかしいと思った。

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