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30-4 宇宙生活の終焉

 カラオケ好きのマリーは持ち歌が多い。そのすべてを披露する勢いでマイクを離そうとしなかった。

「お姉ちゃん、あたしまだ一回しか歌ってない」「俺なんて一回もだぞ」と妹、義弟が抗議しても「婚礼の主役は新婦でしょ」と譲らない。その顔は全体が赤らんでひどく陽気だ。

 彼女が熱唱するなか、ソファーで僕の隣に座る叔母さんと母さんが「姉さん、どれだけ強いの飲ませたの」「一番弱いものよ。少量だし問題ないはずだったわ」「もうあの子ったら。飲み慣れていないとはいえあんな量でできあがるなんて」と娘のあられもない姿を嘆いた。


 その後、彼女はいきなりゲーム大会をひらいたり、酔ってうまくプレイできず勝手にチェス大会に変えたり、それも滅裂な指しかたでミリーにも負けて、「そうだ、お嫁さんとしての最初の手料理を食べてもらおう!」と思いたって、外は黒焦げ、なかは生焼けのホットケーキらしきなにか(しかも無駄に量が多い)を僕の前に出し「さあ、召しあがれ」と強要したり。

 なんだか彼女はさっきよりも顔が赤く、ふらついてさえいた。ミリーが「お姉ちゃんね、料理してるとき、ドリンクサーバーでこっそりなにか飲んでた」と耳打ちする。キッチンドリンカーかよ。


 そしてとうとう、吐いた。

 トイレのほうから、うえええ、という盛大な声が聞こえてきた。今度こそ僕も引いた。

 叔母さんが彼女を寝室へ連れていったあと、母さんがみんなに告げた。「残念なお姫様はご退場あそばされたわ。パーティーはこれにておしまいよ」

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