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27-5 最初で最後の告白
なにが一石二鳥だ。
先生をなんだと思っているんだ。
そりゃ今は非道に振る舞っているけれど、人道にもとるプロジェクトがそうさせているにすぎない。二年以上、僕たちを受け持ってきた先生がどんな人かよく知っている。
とにかく厳しいけれど、なんというか甘えられる厳しさで、甘い顔はいっさい見せないのに生徒からの人気は高い。みんなよく悩みごとを打ち明けていた。僕もそのひとりだ。
先生はいくらでも時間をとって話を聞き、助言を与えてくれた。恥ずかしくて誰にも言えないけれど、以前、僕は「先生は、母と叔母に次ぐ三人目の母さんだと思ってます」と言ったことがある。どうしてもそう伝えたかったんだ。
先生はめったに見せない無防備な笑顔で「ありがとう。うれしいわ」と言ってくれた。
あのとき僕は、思わず母さん以上の別の感情を持ちそうになって、先生に対して失礼だ、と自分を叱った。
ソフィア先生を死なせるなんてできるはずがない。一生後悔し続ける。
なら、あとはもう――




