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26-1 青い巨塔に待つ者

 明けて日曜日。

 朝から曇天だった。嵐の予報のとおり風が吹き荒れていた。マリーはスカートを押さえて頭上を仰いだ。

 この世界で有数の高さを誇る建造物、スカイハイタワー。そびえ立つ超高層の塔は、天に届きそうな威風堂々たる構えだ。曇り空の下ではその麗しい青は映えない。


 ここに「聖地」がある。恐ろしい計画を阻止するための最後の切り札。

 事前に、最上階へのログインや指輪の力を試したけれど、なんらかの力が働いているようで通用しなかった。自力で登るしかない。

 僕たちは意を決して扉を押し開いた。



 僕は昨日、自分ひとりで行くことを提案した。

 またなにがあるかわからない。マリーを危ない目に遭わせたくなかった。

 彼女は承服せず「クコひとりを危険にさらしたくない。一緒に行く」と言って聞かない。指輪は両方必要だ。彼女から無理やり取りあげるわけにもいかない。

 エマさんは彼女の気持ちを汲み、今日はよく休んで明日ふたりで行くようにと言った。ウラヌスが解析を終えるまでまだ数週間はかかるはずなので時間的余裕はある、とのことだった。



 タワーの地上階は壁が全面ガラス張りの円筒形で、周囲の建物や公園が見渡せた。晴れていればいい眺めだったろう。


 中央にエレベーターがあり、その周辺は吹き抜けになっていて、はるか上層がかすんで見える。

 筒状の構造が地上部から頂上の尖端までひと続きに貫いている高層建築物は世界でもめずらしく、この様式では二位を大きく引き離して最長だ。

 この街、最大の観光名所で、多くの人々が訪れる。日曜日ということで、タワー内は多数の観光客でごった返していた。

 これだけ人がいれば誰も襲ってこないんじゃないだろうか。特に根拠なくそう考えた。


 マリーが強風で乱れた髪を整えるのを待って入場券を買い、僕たちはなかへと進む。

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