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22-3 マリーの異変

 校内放送で下校アナウンスが流れる。

 生徒会活動を終えた僕とマリーは、並んで廊下を歩いていた。


 エマさんのことを話して聞かせたが、彼女はどこか浮かない顔だった。まさかさっきのプライとのやりとりを勘づかれたか。内心あせったけれど、誰と作業をしてたかは知らないはず。


「そのエマさんが強いんだよ。君よりレーティングは上だろうね。また指しに行く」

「女の人の家に行くんだ」階段の先を見下ろしながらぼそりと彼女は言った。

「話聞いてた? おばあさんだよ」


 そうだっけ、ごめん、と彼女は危うい足どりで階段を降りる。

 どうも様子がおかしい。

 今朝まで元気だったのに、いつの間にかなにかに思いをめぐらせるような顔ばかりしている。

 なにか心配ごとでもあるのか尋ねてみると、彼女は、なんでもない、と首を振り下駄箱に向かった。


 もう少し話を聞きたかったけど、生徒会で遅くなっている。話し込んで門限に遅れでもしたら二日連続だ。さすがに言い逃れできない。

 門限を厳しくされてることを話し、校門を出たところで僕はログアウトした。

 視界が暗転する直前、なにか言いたげな彼女のまなざしが見えた。



 意識の戻った僕は、コクーンのなかで起き上がった。

 隣のグミの寝顔をちらりと見て、別れぎわの彼女を思い出す。

 無表情だった。普段は笑顔で別れるのに。もう僕たちはわずらいごとから解放されたはずなのに。なにが彼女にあんな顔をさせるんだろう。



 夕食の席で、彼女の態度が妙だった旨を母さんたちに話した。


「あなたたちは難しい年頃だものね」母さんはごくゆるく笑んで僕をさとす。「あの子が話したがらないのなら無理に聞き出すことはないわ。話したくなったときにしっかり耳を傾けてあげなさい」


 温野菜のブロッコリーを口に運ぶ母さんに、僕は、うん、と気の抜けた返事をした。

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