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21-7 老婦人・エマとの出会い

 また恐ろしい夢を見た。


 船に異常が発生し、一家が全滅するという内容だ。前に見た悪夢とパターンは似ていたけど、災難に見舞われたのは、僕の船でなくマリーの家だった。


 リビングで父さんが救援のため、せわしくキーボードを操っている。その脇で僕はマリーと電話をしていた。

 刻々と悪化する船内の状況を、彼女は悲痛な声で伝えた。息が苦しくなっていく、どんどん寒くなっている、ミリーが昏睡状態で返事をしなくなった――。助けに行きたかったけど、向こう側のハッチが開かずダクト内までしか進めない。


 受話器がなにかにぶつかったような大きな音が聞こえた。彼女が手から落としたらしい。

 僕は必死で呼びかけた。彼女はなにか言っていたけれど、声が小さいのか受話器から遠いのか聞きとれない。

 やがてそれもやんだ。母さんが僕の肩に手を置き、無言でかぶりを振った。父さんが、もう生存可能な酸素濃度を下まわっている旨を告げた。


 マリーが死んだ――

 僕はへなへなとその場にへたり込んだ。


 お葬式をあげましょう、と母さんが言った。不吉な響きに手足が粟立つ。昔、もの心がつくかどうかの年ごろに繰り返し聞いた言葉。

 まだなにもわからなかった幼い僕とマリーは、祖父母とは順に次々といなくなっていくものだと思っていた。今やその順番がマリーにおよんで――


 僕は彼女の死を認めたくなくて、嫌だっ、と首を振って叫ぶ。

 そこで目が覚めた。

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