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18-3 ナツい登校
彼女に声をかけた女子に僕はびくっとした。
いつの間に何人かの女子生徒が集まっていて「ほんとだ、マリーじゃない」「久しぶりー。どうしてたの?」と話しかける。
まさか今の鼻歌、と冷や汗をかきそうになるが、幸い、聞かれてはいないようだ。
ほっとしたのもつかの間。
「クコも今日から? ふたり同時に休んで、復活して、登校も一緒?」
隣のクラスの子の意味深な笑みに、またどきりとさせられる。
「あんたたち、やっぱつきあってるの?」「ていうかこのふたり、婚約してるんでしょ。有名じゃん」「マジか。てことは学校休んでたのって新婚旅行とか?」
「違うってば」
僕は手を振り回して否定した。話が飛躍しすぎだ。僕はやましいことはなにもしていない。……夢のなか以外は。
「結婚はまだしてないよ。私もクコも家の事情で休んでたの」
「欠席するのも戻ってくるのも同じタイミングで?」
いぶかしむ友達に、たまたまよ、と彼女は笑ってごまかす。どう考えても無理があると思うんだけど。
女子たちの追及に、暑さのせいだけではない汗が出てきた。
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