17-2 心弾む夜
僕たちが抱きあうかたわらで、グミとミリーは、お互いぎこちない様子だったけれど、そのうち打ち解け、兄と姉を冷やかしはじめた。子供はこれだから。
ひとしきり泣いた彼女は僕の背中から手を離した。涙で顔はぐしゃぐしゃだった。
「まあまあ、美人さんが台無しよ」
母さんがハンカチを取り出して彼女の濡れた頬を拭いてやる。うつむき加減にときおりしゃくりあげながら涙を拭われるさまは、やっぱり幼稚園の子のようだった。
ときに跳ねっ返りの一面を見せ、なんでも僕の少し上をいくたくましい子が、こんなにか弱く見えるなんて。
不謹慎にもそんな彼女を愛らしいと感じてしまった。普段の彼女に言ったら激怒されそうだし、僕自身すごく恥ずかしいから口が裂けても言わないけど。
「さ、リビングに行きましょ。なにか飲みたいものはある?」
「……ホットチョコレート」
母さんに促されて彼女はぽつりと言った。母さんは「あなたはそれに目がないものね」と笑って彼女を先導した。
僕たちはぞろぞろと連れだった。
大人数で通路を歩くことは普段ない。それだけで胸が躍り、今夜は特別な夜なんだと実感する。弟たちも浮かれて、僕や父さんの周りを駆け回った。




