表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/203

3-3 僕たちの婚約

 外宇宙探査船団。

 それは文字どおり、星系の外の領域の観測、調査を目的とした一団だ。

 八機の宇宙船に八家族が乗り込み、各家族の間で最適な子孫を残しながら世代交代して航行を続ける。これにより現在、僕や彼女の、第六十四世代まで絶えることなく船団は存続してきた。

 順風満帆というわけにはいかなかった。家族単位で宇宙船を分けられた理由は、不測の事態に備えることにある。万が一、航行不能の宇宙船が出た場合、その船を船団から切り離すシステムになっている。

 プロジェクトでは、脱落機の発生する確率は統計上、千世代で一機あるかどうかと見積もっていた。実際は百世代とたたないうちに僕と彼女の二家族に激減した。破綻寸前だ。


「マリーは考えないの? 僕たちの未来、この船団のゆく末を」

「クコはものごとを長い目で見てるんだねー。偉い偉い」


 丸めた僕の背を彼女はぽんぽんと叩く。


「そうやって人をからかう」

「からかってなんかないよ。お父さんたち大人もたまにそのことについて話をするし、だいじな問題だと思う。でも結局、私たちにどうこうできるレベルじゃないんだし。私やクコにできるのは、結婚して世代を絶やさないことじゃない?」


 彼女を振り返って見ると気負わない笑顔があった。僕なんかよりずっと達観してる。


「なんか君にはかなわないよ」

「でしょー。敬意を表するのよ」


 えへん、と彼女が胸を張ったとき、母さんがリビングに顔を出した。いつもマルーンカラーの髪をひっつめにしている。


「ご飯よ。マリーも食べていきなさい」

「はーい」と立ち上がって、彼女はとたとたとダイニングに向かった。自分の家と変わらないノリだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ