第8話 勇者召喚
今回は、シルビア視点です。
「今日はなんだか森が騒がしいわ。」
夕食の片付けをしながらシルビアはいつもにまして騒がしくしている森が気になっていた。
「お父様。私ちょっと森を見に行ってきます。」
「もう夜だぞ。1人で大丈夫か?」
「大丈夫よ。小さい頃からお父様に鍛えられてきたんですもの。何てったって元アルファーの騎士の娘ですから。」
「そうか。無理はするなよ。」
「はい!」
私は、家を出て森を見る。
あの光は何だろう?
森の中心辺りに、白い光の筋が天空から降り注いでいる。
あれは……長老様がおっしゃっていた……。
私は、胸に不安と期待が入り交じったようなざわめきを抱えながら、森に向かって走り出した。
森の中に入ってしばらくすると、白い光はもう消えてなくなっていた。
光が降りていた辺りを目指して、腰の辺りまでの高さに生えた茂みをかき分ける。
「あれは……。」
思わず声が出た。予感はあったが、実際目にすると驚きが勝った。
何で人がいるの?
この森には結界が張られていて私たち一族以外の人間は入ってこられないはずなのに。
もしかして、結界が……でも、ちゃんと森の守りを感じる。
やっぱり、あの白い光のせいだわ。
天空から降りてきたってことは……
GYAOOOOOOOOOOOOON!!!!
!!オルトゥス!!
めったに姿を見せないのに……。しかも、あんなに啼くなんて。
やっぱりこれは、長老様がおっしゃっていた……。
ここからじゃよく見えないわ。
もう少し……
カサッ……
!! しまった!! 気づかれた!?
あ……こっちに近づいてくる。
でも、もし本当に長老様のおっしゃる通りなら……
ふと足下を見ると、丁度良い長さの小枝が落ちていた。私はその小枝を拾って右手に持つ。
そして、意を決して茂みから飛び出す。
私が思っている通りなら、この攻撃を……
気がつけば私は腕を取られ、うつ伏せに抑えつけられていた。
!! え!? 何が起こったの?
「痛い離して!何を……!」
「ん? 人か。」
「う~ん。 一番 村の人 見つけた。」
その人物は、片言の言葉で何かブツブツとつぶやいていたのだった。
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