第7話 守人の里
少女を押さえ込んだ手を緩め、起きるように促す。
ゆっくりと立ち上がった後、胸についた土を払っている少女の様子をうかがいながら話しかける。
「もうちょっと抵抗すると思ったんだが、意外と素直だな。」
「おまえ 強い。 抵抗 無理。」
相手の力量を読んで態度を決めたのか。なかなか冷静だな。
年の頃は、14、5だろうか。銀色の髪が印象的なスレンダーなかわいい系少女だ。
「ここ 神聖な森 入れない。 おまえ 誰。」
「そうか。それはすまなかった。」
しかし、異世界というのに言葉が通じるな。
もしかしてこちらの世界の言葉とあちらの世界の言葉は同じなのかな。
イヤ、ないな。だって、地球では国が違うだけでも言葉が違ったからな。
それに、少女の物言いもなんとなくぎこちない。きっと、勇者のチート能力で言語翻訳スキルとかあるんだろう。で、それがまだ上手く働いてないのかもしれないな。
「俺は、異世界から来たSクラスの勇者。タダノ ヒデオだ。」
Sクラスの勇者っていう自覚も証拠も見当たらないけど、超美少女女神様がそう言ってたんだから別に良いよな……。
「勇者?……私 シルビア。 あなた 勇者 本当? お願い ある。」
銀髪スレンダーかわいい系少女、彼女の名前はシルビア。代々この森の守人をしている一族らしい。
そして、話を聞くところによるとこの森は、「レア・シルウィアの森」と呼ばれる神聖な場所らしい。
なので、この森に一族ではない人間が入ってくることは珍しいと言うことだ。というより、結界が張られているので、普通は入ることが不可能だと言われた。
って言うことは超美少女女神はここを狙って俺を転生させた可能性もあるな。
あれ? 超美少女女神様の名前ってなんだっけ……
「あなた 勇者 一緒 村 来て欲しい。」
彼女は勇者である俺に、お願いがあるので村まで一緒に来て欲しいと言う。
折角の第一村人だし、害はなさそうだ。この世界の情報も入手したいところなので、一緒について行くことにした。
何より、彼女は可愛らしい。胸は……土埃を払い落としやすそうな小山ではあるが。
銀髪スレンダーかわいい系小山少女……長いからシルビアでいいか。その小山少女シルビアと森の中を話をしながらしばらく歩いていると開けた場所に出た。
そこにはひときわ大きな木があり、それを囲むように石造りの壁に藁で葺かれた屋根を持つ家がいくつか建っていた。いかにも中世ヨーロッパの村を彷彿とさせる。おぉ、これぞファンタジー。
「ここが 私たちの里。」
シルビアはそう言うと、いくつかある家のうちのひとつへと入っていった。
「父さん ただいま 勇者 連れて きた。」
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