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第61話 勇者の剣

本日2話投稿します。

 翌朝、俺とシルビアは、再び泉のある山頂にいた。目の前にはオルトゥス。


「さて、今日も昨日と同じで良いのかな?」

 俺は、昨日と同様、地面に刺さった剣を抜きながらオルトゥスに問いかける。


《うむ。それでは、面白みに欠けるだろう。今度は我からも攻撃してみよう》


「え? マジっすか。」


《本気だ》

 そう言いながら、オルトゥスが剣を上段に構える。その躯には闘気が纏われている。


 昨日はアレでやられて、剣が粉々になったんだよな。どうやって防げば良いのか皆目見当が付かないよ。

 そんなことを考えていると、オルトゥスが剣を上段から振り下ろし、そのまま地面を穿つ。その瞬間、強烈な衝撃波が地面を駆け巡り俺を襲う。


「グハッ!」

 衝撃波をまともに受けた俺は、大きく後ろに吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。


「条件を満たした為

 スキル『物理耐性』が Lv.4になりました。」


「条件を満たした為

 スキル『苦痛耐性』が Lv.2になりました。」


「条件を満たした為

 スキル『傷病回復』が Lv.2になりました。」


「条件を満たした為

 スキル『体力回復』が Lv.2になりました。」


「何だそれ、衝撃波だけでこの威力かよ……。」

 俺は、痛みが少しずつ引いていくのを感じながら、剣を杖代わりに、ようやく立ち上がる。実際当たったら、どれだけのダメージになるか想像もつかないな。


《まだまだ、始まったばかりだぞ》

 オルトゥスが不敵な笑みを浮かべながら言う。


 俺も剣を構える。気を込めろと言っていたよな。分からないまでも雰囲気は大切だ。俺は剣に気を込めてみる。と言っても、そんなイメージをするだけだ。

 すると、意外にも剣自体が淡く碧く輝く。

「やってみるもんだな。」


 淡く碧く輝く剣を手に、俺は地面を渾身の力で踏み込む。地面からの反作用を利用してオルトゥス向けて跳ぶ。結構な勢いで、眼前にオルトゥスが迫る。

 俺は碧く輝く剣を横薙ぎに振るう。その剣は輝きを増しながらオルトゥスに向かう。


 ザシュッ!


 オルトゥスは僅かに後ろに下がる。

「躱されたか。」


《うむ。だんだん良くなってきているな。我が躱せぬとはな》


「何を言う。俺の剣は躱されたんじゃないのか?」


《そうでもない》

 オルトゥスが自分の腹を見る。すると、僅かにその衣服が裂けていた。なるほど、ほんの少しは擦ったか。


《しかし、お前はまだ剣を剣だと思っている》


「なんだそれ。剣は剣だろう? 禅問答か?」


《ゼンモンドーは知らぬが、その剣を見たままの剣とは思うな。その剣はお前の思念を映す武器(モノ)。そう心得よ》


「やっぱり禅問答じゃないか。何のことだかさっぱりだ。」


《まだ、その境地に達するに暫し時を要するか》


 ハッキリ言って、オルトゥスの言わんとすることはさっぱり理解できない。しかし、さっき振るった一撃は、なにか今までとは違っていた気がする。何が違ったんだろうか……。


「ん〜、わからんな。とにかく数打ちゃ当たるって言うしな!」

 俺は再び、間合いを詰めて斬りかかる。オルトゥスは簡単に剣を弾く。二度三度と重ねて斬りかかる。が、ことごとく弾かれてしまう。


「ダメだ。このままでは、何の進展もないな。」

 俺は、全く剣が届く気配がないことにだんだんと焦りが生まれてくる。


《良くなるどころか、悪くなる一方だぞ》


「分かっちゃいるんだけどな!」

 俺は地面を蹴り飛ばし、オルトゥスを斬りにかかる。

 それを見て、オルトゥスが剣を振り下ろす。その速さは尋常ではない。俺は、辛うじてそれを剣で受ける。が、受け()()()ことはできない。俺は、派手に吹っ飛ばされると容赦なく岩に叩きつけられる。


「グッハッ!」


 「条件を満たした為

 スキル『物理耐性』が Lv.5になりました。」


「条件を満たした為

 スキル『苦痛耐性』が Lv.3になりました。」


「条件を満たした為

 スキル『傷病回復』が Lv.3になりました。」


 「条件を満たした為

 スキル『体力回復』が Lv.3になりました。」


「耐性と回復のレベルアップの為にやってんじゃないんだけどな……。」


《もう少しできると思っていたのだがな》


「それは、ご期待に答えられず申し訳ないな。」

 このままではじり貧だ。何とかしないとな……。もっと早く動けないと。


「試してみるかな。」

 そう独り呟くと、俺は瞬間的に移動できるイメージを持って地面を蹴り上げる。すると、あっという間にオルトゥスの眼前にまで()()()()()()()


「イヤ、思ったより早すぎるんですけど!」

 俺は慌てて袈裟斬りを放つ。俺の剣は碧い光を纏う。

 しかし、オルトゥスはそれこそ瞬間移動でもしたかのようにその場から姿を消す。


《我に縮地を使わせるとはな。先程の速さは良かったぞ》

 そう言うと、オルトゥスは再び一瞬消えた。次の瞬間、俺の目の前に現れて横薙ぎに剣を振るう。その剣は闘気を纏うかのように光り輝きながら一閃を放つ。


「ヤバい!」

 そう思ったのだが、気がつけば俺は、その斬撃を躱し後方へ移動していた。


《なんだと》


「条件を満たした為

 スキル『瞬間移動』が Lv.2になりました。」


 なんだ? 俺がやったのか? 考えるより先に反応したのか。イメージだけで、これだけの速さで動けるもんなんだな。やっぱり鍵はイメージなのかな。

 俺は、再び瞬間的に動けるイメージを持つ。剣はどうする? 何でも切れるイメージ? 気を纏えって言ってたよな。気を纏った剣。地球(あっち)の映画にあったビームを使った剣みたいなイメージかな……。


「ダメ元でやるだけやってみるか。」

 俺は、縮地を使い、間合いを詰めるとオルティスめがけて斬りかかる。


 ブウォン!


 俺の剣は空を切る。ダメか! 

 しかし、そう思った瞬間その一撃は空気を切り裂き衝撃波を生む。

 そして、それはオルティスまで届く。衝撃波がオルティスを襲ったその後、爆発のような衝撃音が鳴り響いた。


 どうやら俺の衝撃波は音速を超えたようだ。

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