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召喚勇者は便利屋じゃないんだよ! ー俺は名誉や金より安らぎが欲しいー  作者: しいたけ
第1章

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第27話 いざ出陣

2018/12/13 誤字修正しました。

 城から離れた城壁近くの習練場。その広場には、既に軍勢のほとんどが整列していた。

 彼らの前に、ジェームズと部隊長のマーカスらが立っている。

 総勢、約2000人の軍勢だ。これは、領地の割には人口が多いアガルテにとっても少なくない数だ。職業軍人だけではなく、臨時で雇い入れた兵士や従士、傭兵たちもいる。大きな冒険者ギルドも抱えた要塞都市ならではのことである。


 部隊長(マーカス)が一歩前に歩み出し、兵士たちに檄を飛ばす。


「我が勇敢なるアガルテの兵士たちよ! 俺は、おまえたちが最強の戦士であることを知っている! おまえたちも(みずか)らが最強の軍団の一員であることを知っているはずだ! 今! 悪烈きわまりない魔族どもが我がアガルテに攻め込まんと、こちらに向かってきている! しかし! 我らアガルテの勇は、何人たりともここを通さぬ! 例えそれが魔族であってもだ!! 勇敢な兵士たちよ! 我と共に、アガルテを守り抜き、魔族どもを殲滅しようではないか!! 我がベルグランデ王国に、平和と繁栄をもたらすのは我々だ!!」

「ベルグランデ王国に栄光あれ!!!」


「「ベルグランデ王国に栄光あれ!!!」」


「魔族どもに死を!!!」


「「魔族どもに死を!!!」」


「うぉぉぉぉ!」

部隊長(マーカス)が雄叫びを上げながら剣を頭上に掲げる。


「「ウォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」」

 シュプレヒコールの中、兵士たちが雄叫びを上げる。


「いざ出陣!!!」


部隊長(マーカス)の号令で部隊が進み出す。


 斥候部隊を先頭に先導兵の第1部隊。次に盾隊、アルファー騎士団、歩兵や従士、弓兵部隊そして傭兵の第2部隊が続く。殿(しんがり)は食料や武器の整備を担当する輜重隊(しちょうたい)だ。


 我々は、まずはカストラと呼ばれる野営地を目指す。そこに布陣を敷き、準備を整えてから魔族を迎え撃つ作戦だ。伏兵戦で臨むつもりらしい。


 俺はと言うと、今回は他の者には勇者とは知らせることなく従士のひとりとして参加している。これは部隊長(マーカス)の意向だ。なので、第2部隊の中程より少し後方に位置している。いわゆる予備部隊だ。


 兵士たちは皆意気揚々と行軍している……訳でもないようだ。


 騎士や騎兵隊など職業軍人は、戦意も高くやる気に満ちあふれているが、お触れによって集められた歩兵や一部の従士、いわゆる傭兵と呼ばれる者の多くは、とりあえず参加してます感が漂っている。


 まぁ、出稼ぎというかアルバイト(クエスト)みたいなもんだから、ある意味仕方がないことなのかもしれないけど、これで勝てるのかちょっと不安になってくる。


 そんな中、俺にとっての朗報はアルファー騎士団の情報だ。

 ジェームズが団長を務めるアルファー騎士団は、なんと1人で100人の歩兵を倒すと言われる正規騎士においても、最も力量があるとされるトップの小隊だと言うことだ。

 巷ではアルファー騎士団に所属する騎士1人で正規騎士10人に匹敵するのではないかとも言われているらしい。

 100×10=1000 って事は、まさに一騎当千じゃないか。こりゃ精鋭中の精鋭だな。

 2000人の軍勢でも、実質は7000人相当って訳だな。彼らが前線で戦ってくれるのであれば心強いことだ。



 4時間ほど行軍したところで俺たちは野営地(カストラ)に到着した。


 斥候部隊によると敵はこの先2ガル(8km)程先にいるらしい。誘導部隊も順調のようだ。早ければ後1時間もすれば戦闘が始まるだろう。


 後方支援部隊は、騎士たちの装備の準備をしている。

 俺はその騎士たちの、やや後方に陣取る。さらに後方には弓隊が控えている。

 各々が自分のすべきことを手がけ、刻一刻と迫る戦闘に備え行動している。


 緊張の中にもちょっとした安堵の雰囲気がその場を包みかけたその時だ。


 狂ったような炎が俺の頭上を舞った。


 背後で起きる爆発。


「敵襲だ!!」


「総員配置に付け!!」


「なぜだ! 敵はまだ2ガル(8km)先ではなかったのか!」


 野営地(カストラ)には、怒号が飛び交う。そこは、一瞬にして阿鼻叫喚の巷と化す。


「盾部隊は前衛を固めろ! 弓兵は後衛! ジェームズ! アルファー隊を出せ!」

部隊長(マーカス)の怒声が響く。


 右往左往している歩兵たちをよそ目に、アルファーの騎士たちが泰然自若と動き出す。

 流石は王国随一の精鋭部隊と呼ばれるアルファーの騎士たちだ。

 その動きはまさに職業軍人のそれである。


 盾部隊もそれに遅れまいと前に出る。

 後方から一斉に弓が放たれ始めた。


 いきなり戦闘が始まってしまった。伏兵戦で奇襲をするつもりが、奇襲された形。本来ならばこの時点でかなり戦況は厳しくなるだろう。しかし、我々にはアルファー所属の騎士が5人もいる。彼らがいれば、不意打ちを食らった今からでも形勢を立て直すことは容易いだろう。


 その時、俺はと言えば…


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『視覚強化』が Lv.2になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『聴覚強化』が Lv.2になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『嗅覚強化』が Lv.2になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『身体強化』が Lv.2になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『気配察知』が Lv.2になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『危険察知』が Lv.2になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『魔力探知』が Lv.3になりました。』


ピロン♪

『条件を満たした為

 スキル『物理耐性』が Lv.2になりました。』



……空気を読まない天の声にちょっと、いや、かなりうんざりしていた。


ようやくプロローグの場面に追いつきました。

いよいよ、勇者の本領発揮か?

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