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第18話 異世界2日目の朝

「おはようございます。」


「あ、おはようシルビアちゃん。」


 夕べはよく眠れたな。爽やかな朝だ。

 シルビアが部屋まで起こしに来てくれた。

 ま、俺は既に起きていて布団から出たところだったのだが……


「!!!!!!!!! きゃ〜!! ヒデオ様何で裸なんですか!」

と、シルビアはドラマでよく見る、あの、少し隙間を空けながら目を隠すあれをやっていた。

 気になる年頃だもんね。


「あ〜、着てたのが森の中とかうろうろした服だったし、布団汚したら悪いかなって思ってさ。」


「もう! それなら一言、言ってくだされば用意したのに!」


「とにかく! 朝食の準備ができていますから! 着替えたら食卓へいらしてくださいね!」


 すごい剣幕でシルビアが出て行くのをあくびをしながら見送る。


 うむ。少女には刺激が強かったのかな?

 おお! 異世界でもmy sonは元気であるのぅ。

 確かにこれでは、ちょっとシルビアちゃんには刺激が強すぎたな。


 服を着ると、俺は窓から外をみる。

 昨日は暗くてよく分からなかったが、大きな木の周りを家が囲むようにして集落をつくっている。石造りに藁葺きの屋根。

 う〜ん。まさにファンタジー。

 この景色を見ると、異世界にいるんだなっていう実感が湧くね。

 勇者の実感は全くないけど……。



 俺の異世界2日目が始まった。


 なんやかんやとバタバタした1日目ではあったが、思ったより俺って異世界になじんでる気がするよな。とは言っても、こっちの世界に来て出会ったのはまだ3人。

 それに、どうやらあの人たちはみんないい人っぽい。勇者のことも、良い感じに思ってくれてるみたいだし。


 みんながみんな、親切で勇者好きな人ばかりとは限らないだろうからな。

 うん。ちょっと気を引き締めてかからないといけないかな。


 でも、まぁ召喚勇者初日としては、まずまずの滑り出しではなかろうか。

 ……うん。



「シルビアちゃん。朝からご機嫌だね。」

 着替えてシルビア、シルビアパパと俺の3人で朝食をとりながら、シルビアに話しかける。

 俺の真っ裸(まっぱ)with My son(暴れん棒)を見てしまったシルビアは、始めこそ顔を真っ赤にしてプンスカしていたが、すぐにご機嫌は直り、むしろ今は上機嫌に鼻歌交じりで朝食を取っている。


「え? だって、勇者様と同じ屋根の下で寝たんですもの!」


「え〜? それだけで?」

でも、その物言いは誤解を与えるよ?


「それだけじゃないですよ! めっちゃすごいことですよ!」


「そんなもんかなぁ。」


「そんなもんです! で、ヒデオ様は どんな世界から来られたんですか? カガクのある世界なんですよね。」


「あぁ。それはそうと、勇者の召喚って結構あるの? 俺みたいな転移した人間って、あんま珍しくない感じ? なんだか二人ともすんなり受け入れている感じだからさ。」


「いや。前回の異世界からの勇者召喚は、100年以上前になるな。儂はもちろんのこと、婆様(ばばさま)も前回の勇者殿にはあってはおらんからな。」

マールスさんが、話を引き取って答える。


「え? それなら俺みたいな異世界人は珍しいんじゃないですか?」


「うむ。そう沢山いるというわけではないが、異世界から来た人々がいないわけではない。

勇者としての召喚が100年以上ないと言うことであってな。異世界から転移してきた者が皆無というわけではないのだ。にしても、転移者は珍しいけどな。」


 どうやら転移者と呼ばれる人たちは、確認されているだけでも毎年数人はいるそうだ。

 それも、この国だけの話だから世界中となると、確認されてない人も含めてそこそこの数になるんじゃなかろうか。

 どこかに同じ日本人がいるかもしれないな。


「私たちにとって、勇者様は特別ですから。」

シルビアは意味深な目配せをしながら微笑んだ。


「そういや。ここってどこなんですか?」


「え〜。ここはソリスの里ですよ。昨日ちゃんと教えたじゃないですか〜。」

シルビアがほほを膨らませ、すねた感じで言う。


「じゃなくて、なんて国? 国とかあるんじゃないの? え? もしかして無い?」


「もう! 無いわけないじゃないですか。ちゃんとありますよ。ここは、ベルグランデ王国です。王様がいて統治している国ですよ。

あと、3人の大貴族がいて、それぞれがご自分の領地を治めています。

私たちがいる、ここソリスの里はその3人の大貴族の中でも、最も強大な軍事力を誇るベルナドッテ公爵様の領地なんです。」


「へ〜え。大貴族様がいるのか。なんだかわくわくするな。」


「別に珍しいことでも無いと思うんですけど……。ヒデオ様の世界には貴族様はいらっしゃらなかったんですか?」

きょとんとした表情でシルビアが尋ねる。


 考えてみたら向こうの世界にも貴族や王様はいるな。

 でも、それは、俺にとっては別世界であんまし実感がないんだよな。天皇陛下も言ってみりゃエンペーラーってか皇帝みたいなもんかもしれないけど、国民の象徴だしな。象徴って言ってもわかんないだろうな。


「いやぁ。貴族も王様もいることはいたな。」


「でしょ? やっぱり珍しくないじゃないですか。」


「まぁ、そうなんだが、俺の日常とはかけ離れていてね。」


 そんな、たわいもない会話をしながら朝食を取っていると、入り口のドアをたたく音がした。


「マールス殿。在宅であるか? 私だ、ジェームズだ!」


 ん? ジェームス? ……まさか、あのジェームスが?

 なんとなく、嫌な予感がするな。ジェームスに関わったらろくな事が無い気がする……。


 穏やかに始まった異世界2日目ではあったが、どうやら平穏無事に、とはいかないようだ。

ご意見いただければ喜びます。評価・ブックマークをどうぞよろしくお願いいたします。

長期出張から帰ってきました。2000字程度めざして1日1話か2話のペースで投稿していくつもりです。

これからもよろしくお願いします。

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