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第23話 町で皿食

 フフフ、これなら考えるだろ。

――ところが意に反した三人。


「仕方ありませんね、ちんこの順番を守りましょう」

「順番がや、ちんこの濃い内容にするがや」

「私も沢山可愛がってもらうわ。ウフフ」


 お前達は何を考えているんだか。


「俺が恥ずかしくなるよ」


 温まったのか、可愛い寝間着姿で出てくる三人。うんうん、似合っているね。

 実は先日、以前のファルタリア達に習って、一度風呂から全裸で出てきた事があって止めるように注意した。

 はい、突然眼の前に出てきたから思わず、固まってがん見てしまったよ。

 フェーニはエルフだしプロポーションも申し分なく良かった。

 ミケリはキャットピープルだから毛並みも良く、尖った耳も可愛くスレンダーでとても魅力的だった。

 ルージュは可愛い上に、サリアが羨むドドーン、キュッ、ババーンとダイナマイトなバディが炸裂していた。

 仕方がないだろ、見えてしまったのだから。

 でも三人とも可愛らしく、十人いれば十人が振り返る程、綺麗に魅力的に成長していた事は喜ばしいな。


 次にコーマ、ファルタリア、サリアが凛々しく威風堂々と風呂に入って行く。何だかなぁ、と感じつつ、少しして俺も風呂に入った。

 サリアは浮かび、赤ら顔の嬉しそうなファルタリアをモフる俺の横にコーマ。いつもの光景だけど、これはこれで癒されるんだ。

 フゥ――幸せな気分だ。

 風呂を出る時、ごく自然にファルタリアから口づけをしてきて、妖艶な流し眼で、俺を見ながら出て行く。

 あ、今日はファルタリアだ。

 コーマもサリアも、気づかいする様子も無く出て行った。相変わらず裸族の三人を無視して俺は寝巻を着てから出る。

 そして今晩は、ファルタリアを可愛がりましたよ、しっかりとね。


「ハァァァ……愛しています、ラサキさん」

「俺もだよ」


 ホゥ、と光悦な表情で満足していたファルタリアだった。


 翌日からは、コーマも一緒になったけど、基本は変わらない。俺、ファルタリア、サリア以外は、コーマには関わらないからいつもの生活だよ。

 二人はコーマが許した唯一の特殊な獣人と魔女なのだろう。


 早朝には狩りに出て、昼間は鍛錬する毎日が続いた。

 そんなある晴れた日。久しぶりにシャルテンの町に皿食を食べに行こう、と提案したら、全員が快諾した。

 そんなに行きたいのなら各自で行って来ればいいのにな、何で行かないのだろうか。

 いつものように、荷車に朝獲った肉を乗せ、シャルテンの町に向かう。

 先頭にフェーニとミケリが並び、荷車を曳く俺とファルタリア。後にサリアとルージュが並ぶ隊列が出来ている。

 以前より大所帯になったので、面倒が嫌なコーマは消えている。俺も荷車を曳いているから、腕も組めないからね。

 多分何処からか見ているのかな。

 あ、隣のファルタリアだけは、並んでいる事を言い事に俺にくっついたり離れたりと、廻りの眼も余所に、大きい尻尾を揺らしながら楽しそうだった事は黙っておこう。

 シャルテンの町について程なく、ギルドの横の屋台に行く途中、周囲の眼線が俺達に刺さる。

 ん? どうした? その視線の先にはフェーニ達がいた。エルフが珍しいのか? などと思っていたら違った。

 近づいて来る冒険者達が、握手や挨拶を求めて来た。 ?マークの俺に、横にいるファルタリアが教えてくれた。


「あの子達の、その名声はギナレスの町どころか、全国に届いているのですよ」


 ファルタリア曰く、ギナレスの町での活躍は、樹海での戦闘を見ていた冒険者達が、その強さを、語り、噂が噂を、話が話を、容姿は容姿を、と着実に広がった。

 好意を寄せられた話をことごとく蹴散らし、男達を圧倒させるほど、驚異の強さを持った三人。

 ギナレスの町を、惜しまれながらも出立した三人の行先は、各町のギルドが掌握していたので、住んでいる場所もすでに知られている。

 今現在、冒険者の頂点に立っている、十数組いる中の三人になっていた。

 おいおい、俺の家に来た時には、もう最強になっていたんじゃないか。

 そんな事もつゆ知らず、ファルタリアとサリアの鍛錬が始まって、更に強くなったのだから、ダントツの最頂点だろ。ん? え? その三人を教えているファルタリアとサリアは、その上位になるのか。

 あー、もういいや、考えるだけで胃が痛くなりそうだから、気にするのも、考えるのも、思うのも、よそう。

 フェーニ達も、何でもあり――だな。

 その後も、肉や野菜を売っている時にも、客に混ざって頻繁に声を掛けられていた三人。

 まあ、功績が付いて回っているのだし喜ばしいけど……煩わしいな。

 コーマは消えているからいい。ファルタリアとサリアは、仕方がないと思っているようだ。

 その様子に恐縮するフェーニ達。


「ラサキさん、すみません」

「ゴメンなさいニャ、ファルタリアさんニャ」

「サリアさん、ご迷惑おかけします」


 苦笑いの二人。


「いいですよ、三人の功績ですからね」

「いいがや、いいがや、有名がや」

「定住したし、この町が拠点になるだろうから、次期に落ち着くよ。気にしなくていいよ」

「ありがとうございます」

「すみませんニャ」

「ゴメンなさい、ラサキさん」


 完売したら台を片付け、有名になった三人には、ファルタリア達に任せて、別行動で皿食を食べに行く事にした。

 別行動と言っても、これから行く皿食屋は同じだし、声も掛けられるけど、コーマが煩わしいと思うだろうから、俺の判断でこうしたんだ。

 皿食屋に行く途中でコーマが現れ腕を組んで来た。


「ウフフ、ありがと。楽しみだね」

「ああ、お帰り」


 皿食屋に入り、注文してテーブル席に座る。少しして隣のテーブル席にファルタリア達が座った。

 普通に話が出来る距離だけど、それは無縁に終わった。やはり声を掛けまくられ、食べ辛そうだな。

 それでもフェーニ、ミケリ、ルージュは笑顔で対応していた。大人になったね。

 一方、ファルタリアとサリアは、気にする事無くお構いなしに大口開けて食べている。更にフェーニ達を余所にお代わりしに行っているし。

 図太いと言うか無神経と言うか……まあ、今さら始まった事じゃないか。

 俺とコーマも皿食を堪能し帰路に着く。シャルテンの町を出たらみんな一緒だ。

 帰り道はフェーニ達の今日のような苦労話を聞きながら家に向かった。

 家に着いたら庭先で、ファルタリアを筆頭に各自装備している鎧や剣の手入れを始めた。サリアは小走りに、森の中に出かけて行った。

 多分妖精たちの所だろう。

 思い思いに手入れをしているけど、ファルタリアが声を掛ける。


「はーい、ちゅうもーく。手入れに付いて説明します」


 三人しかいないんだから、普通に話せばいいのにな。以前、ドワーフの武器商人に教えられた手入れが身に付いて、受け売りで語るファルタリア。


「で、こういう手入れをすれば、切れ味も良く長持ちします」


 三人は頷いて、素直に聞き入れ、教わった手入れ方法を自分流に変えて行っていたよ。すぐに順応しているし、これも最強たる冒険者か、偉いな。

 ふと視線を感じ、家を見れば、窓越しにコーマが、こちらを見ながら果物を食べていた。

 俺も家に入り、コーマの隣に座る。


「大所帯になって、迷惑じゃないか?」

「大丈夫よ、ラサキの好きにして」

「コーマは優しいな。本当に、いいのか?」

「ウフフ、楽しいよ。全てが初めての事だから」

「悪いな、好き勝手にして」

「じゃ、また可愛がってね。ウフフ」

「ああ、約束しよう」


 この後は、コーマがイチャこいて来たので、夕食を作る時までお相手しました。

 ファルタリア達も入ってこなかったからさ。

 さて、そろそろ夕食の準備をしよう。

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