第 8話 ギルドに報告だ
本日2回目の投稿です。よろしくお願いします。
翌日早朝、腰袋を下げ、コーマと山を下り、街道をシャルテンの町に向かう。時折すれ違う、商人の馬車には冒険者が護衛に付いているのを見る。
「やっぱりこの街道も魔物が出るんだろうな。でも、一度も出ないなんて、コーマの力は凄いな」
俺と腕を組んで、嬉しそうに歩くコーマ。
「力って程じゃないけれどね。楽でいいでしょ」
「そうだね、コーマがいてありがたいよ」
「ウフフ」
そんな話をしながら歩いているうちに、シャルテンの町の門が見えて来た。何時ものように入り、ギルドに向かう。
外では何やら騒がしいぞ。ギルドの前には、三人の遺体が置いてあり、上には布がかぶせてあった。
中に入る。一度、視線が俺に集まるが、そう長くは続かずにいつものギルドになった。レニに案内され、ギルドマスター室に入る。
関わりたくないコーマは、人知れず姿を消している。便利な力だな本当に。
中央のテーブルを囲む椅子には、ウルバンと逃げた男がいた。身長一七〇センチ程で浅黒く、金髪青目の細身の剣士風な男。
「来たか、まあ座れ。この男はナックス。死んだ奴らとパーティを組んでいた冒険者だ」
立ち上がり、頭を下げるナックス。
「先日は申し訳ありませんでした。俺達は今までガエルには逆らえなくて」
「いやいいよ、済んだ事だ。俺は怪我も無かったしな」
ウルバン曰く、ガエルがこのパーティに、脅迫に近く無理やり言う事を聞かせた。ガエルが怖く、頭が上がらない。
それに簡単な仕事だと言われ着いて行った。ラサキ一人を始末すれば気が納まり、今後は二度と声を掛けないと言われたので、すまないと思ったが行動する。
そして結果、こうなった。ラサキは正当防衛なので無罪。ナックスは、脅迫されていたが襲撃に参加したので、禁固一週間。
「ラサキ、この結果でいいか?」
俺も納得し、頷く。
「俺はそれでいいですよ。後は任せます」
ギルドマスターの部屋を出て、買取りの部屋に入る。腰袋から魔石を取り出しカウンターに置いた。
レニと双子の受付嬢が出てくる。赤い髪が肩まであるラニ。
「こんにちは、ラサキさん。レニの姉ラニです」
「よろしく、レニから聞いているよ。この魔石の買取りを頼みます」
奥に行って調べたのかすぐに戻ってくる。
「金貨一五枚になります。お売りになりますか?」
「お願いします」
これで当面はしのげる。そろそろ何か考えないといけないな。ラニから金貨一五枚を受け取り、俺はギルドを出る。
遺体の横を通り過ぎようとしたら、俺に向かって、一二歳程の女の子が泣きながら声を発する。
「ラサキ! 人殺し! お父さんを返せ! ううぅ」
今にも飛びかかって来そうな勢いだ。死んだ男の子供だろう。その子を押さえて静止しているのは母親か?
事情は知っているようで、逆に頭を下げ、申し訳なさそうにしている。反対に、俺を睨む青く長い髪が印象的な女の子。
「いつかお父さんの仇を討ってやる! 覚えていろ!」
さて、どうするか。謝っても逆効果だろうし……。
「ああ待っているよお嬢ちゃん。強くなったらいつでもどうぞ。その前に、しっかり修行をして鍛えろよ。あと一〇年は必要だな」
「絶対にお前より強くなってやる! 絶対だ! 待っていろ!」
「ああ、待ってるよ」
そう言って、足早にその場を去った。
誰も気が付かず、いつの間にかコーマが実体化して俺の横にいた。神業とはよく言ったもんだな。並んで一緒に歩くコーマ。
「ラサキ、なんであんな事言ったの?」
「ん? 今度は心を読まないんだな」
「だって勝手に読むなって言ったじゃない」
「そうか。父親が殺されて、折れた心がゆっくり立ち直るより、憎しみであれ、ああ言えば目標が出来て必死に生きてくれそうな気がしたからな」
「ふーん、あの子にとっては悪者になったね、ラサキ」
「いいんだ。その方があの子も強く生きるだろ。皿食屋で飯でも食おうか」
「賛成、行こう行こう」
足取りも軽くなり、俺とコーマは、皿食屋で談笑しながら美味しく食べた。コーマは、よほど気に入ったのか、お代わりして嬉しそうに二皿食べていたよ。太らないのか? 少し心配になった。
食後、俺達は町中にある薬草屋に入って行く。ここは薬草の他、ポーションが売られている。俺は店主に売っている商品について聞いてみた。
店主曰く、薬草は精製技術のある者にしか作れないので需要は少ない。主流はポーション。体力回復のポーションは一本飲めば枯渇した状態で半分戻る。
ただし、二本飲んでも全快にはならない。傷を治すポーションは、一本で裂傷などの血止め。二本で完治。骨折になると五本は必要だ。
手足が切断された場合、切断した部分があれば接合して降り掛け、二〇本は必要。再生は無理。治癒魔法は、教会にいる大魔道士が出来るが高額になる。
一本あたりのポーションは、金貨一〇枚もする高価な代物だった。その上、何本も持ち歩くとなれば不便だから、パーティでは荷物持ちが必要になる訳だな。
薬草屋を出て、歩き出す。
コーマが俺に質問してきた。
「ラサキは必要ないでしょ。強くなったし健康にもなったから怪我も少なくなるはずよ。万が一怪我しても、契りを交わしているから私が治してあげるよ」
「いや、コーマは俺しか手を貸せないだろ。今後、他の誰かが必要なときに使う事があるんじゃないかなって思ったんだ。でも高額で無理だったね」
俺とコーマは腕を組んで歩き、シャルテンの町を後にして家に帰った。