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第59話 次は村に行こう

 ザルダ山の山頂までは、ギナレスの町から来た道を戻る。他愛も無い話しで華が咲き、笑顔が絶えず山頂に向かう。旅行が楽しそうで何よりだよ。

 道中の足取りも軽く、サリアがはしゃいで、走り回り転んでいた。いい加減、気を付ける事を覚えような。

 それに引きかえ、ファルタリアは転ばなくなったね、偉いよ。でも、年も年だから当たり前か。

 上り坂だったけど、苦も無く歩いて日も暮れて、星夜になった頃山頂に着いた。

 シーガイの町を見下ろせば、街の明かりが灯っていて白と黒のコントラストが綺麗だった。遠くから見下ろすシーガイの町を思い出すと感慨深いな。

 反対を振り返り、見下ろせばアルドレン帝国の明かりが見えた。シーガイの町の比ではなく、とても明るい光の国。

 アルドレン帝国の威厳みたいな強さだった。綺麗な光だけど、横目に見ながら街道を右に曲がり歩き出した。

 歩いている途中で、左に行く道があったけど、アルドレン帝国に行く道だとすぐにわかった。俺達は、そのまま直進して歩く。

 沢山の星が、今にも落ちてきそうな景色を眺めながら、シーガイの町の事など談笑しながら楽しく歩いた。


 日も昇る頃、誰一人すれ違う人に合わず、ザルダ山の麓を過ぎる。荒れ地だった景色は、すでに森に変わっている。

 順調に歩く事一日、夕方にはペコムの村の塀が見えた。

 森の中に、ひっそりと暮らしている村、と言う雰囲気を受けたよ。ペコムの村には、検問所は無いけど、門番がいたので証明書を見せて無事に村に入る。

 今日泊まる宿を探そうとしたら、すぐ目の前に建っていた。木造の平屋で四人の一ベッドは無く、四人で四ベッドの部屋があったのでその部屋に決めた。

 村はのどかで、畑も多く農家が主流のようだ。宿も決まったし、まだ元気だったから村長の家に向かう。

 途中草原で、子供達が遊んでいる様子を横目に歩いて行く。のんびりして、気持ちが和らぐいい村だな。

 それに引きかえファルタリアとサリアは、村に着く直前まで俺のちんこの話で盛り上がっているし、その話を肯定するようにコーマもその横で聞いているし、もっと違う事で盛り上がってほしいよ。

 頼みますよ、いい女が三人で話す事じゃないでしょ。

 門番に聞いた道順で、村長の家に着いた。

 村長の家らしく大きい平屋の木造で、入口から入った部屋は三〇人くらいは入れる広間になっている。その中央には、テーブルが二つ並んで置いてあった。

 ファルタリアとサリアが、掲示板を見に行ったけど、畑仕事の手伝いと魔物退治があったらしい。若者が少なくなって畑仕事も大変なのかな。

 ギルドだと混雑する夕方だけど、暇なのか誰もいないようだから出直そう。

 皿食屋は無かったけど、宿の一画が定食屋兼酒場だった。宿に帰った俺達は、店主のお勧めで、豚の生姜焼きに舌鼓を打った。

 豚は、昔の世界でも食べたけど、この世界の豚は初めてじゃないか? 味も変わらず美味いし、お代わりもして四人で堪能しましたよ、ご馳走様。

 豚と牛は、この村で家畜として育てているとの事。これなら今後の食事は楽しめそうだ。


 部屋に帰ると、ファルタリアとサリアが、四つのベッドを中央で一つにくっ付けた。

 あー、折角久しぶりに一人で寝られると思ったのに、君達の考えている事はわかったよ。

 俺は黙って仲良く就寝した。


 朝に目を覚ますと、まず三人の手を払いのける。

 最近はサリアまで片隅に手を乗せているし、お前達はこればかり考えているのか? 全く。

 文句を言っても、三対一の堂々巡りだから何も言わない。

 三人と、おはよう、の口づけをして、もう一度、村長の家に行く。広間の奥には、昨日は居なかった受付に人がいた。

 黄色の髪でくりっとした青眼、身長一四〇センチ程の大人しそうな女の子だった。


「いらっしゃいませ、ペコムの村にようこそ。私は受付のソニアです」

「よろしく、ソニア。俺はラサキ、連れはファルタリアとサリアだ」

「ご用件をお伺いします」

「依頼にある、魔物退治について聞きたい」

「はい、ペコムの村の周囲には、魔物が多く出現します」


 ソニア曰く、村にもしばしば現れ、今では人より家畜や作物を狙ってくる。

 人を襲ってこなくなった魔物は、頭が良くなったのか人を残せば、また家畜や作物が増える事を学んだ。

 これでは生かさず殺さずで余計に厄介になってきている。

 なるほど、家畜だけを狙えば無くなる事は無い、と言う事を理解しているんだな。

 丁度良かった、ファルタリアの欲求を満たすのに持って来いだな。俺はその依頼を受けた。

 聞いて喜ぶファルタリア。


「やったー! 切れ味が楽しめますね、楽しみです。エヘヘ」


 サリアは期待するように俺に聞いて来る。


「あたいもやっていいかや? 魔法攻撃してもいいかや?」

「ああ、いいよ。思う存分にやっていい。ただし、大規模な魔法は禁止だからね」

「問題ないがや。簡単な魔法だけがや。アハハー、楽しみがや」


 問題は起こさないで下さいね、お願いしますよ、サリアさん。

 依頼を受けた俺達は、その足でペコムの村の周囲を歩く。探そうとしたら向こうから出てきた。

 五体のキャタピラーだ、この世界で初めて見たよ。体長一五〇センチほどの芋虫の魔物で、茶色の皮膚も厚くその体型に似合わず素早い。

 昔と変わっていなければ、鋭い牙と前足で攻撃してくる。

 先行したファルタリアがバトルアックスで攻撃を始めた。キャタピラーの攻撃を物ともせず、豪快に切り倒している。

 すると、後ろから別のキャタピラーが六体現れて俺達に向かって来た。今度はサリアが楽しそうに両手を前に出す。


「氷の矢よ、あの魔物に突き刺さるがや」

「炎の矢よ、あの魔物に突き刺さって弾けるがや」


 二つの魔方陣が浮き出て、中央から氷の矢が先頭の二体に突き刺さる。次に出た二つの魔方陣からは、炎の矢が後ろの二体に突き刺さり破裂した。


「風の刃よ、あの魔物を切り伏せるがや」


 残りの二体に、カマのような透き通った風の刃が飛んで行き、キャタピラーを真っ二つにした。サリアも強いな。

 後で聞いた事だけど、攻撃魔法は片手で一つ出せる。両手なら二つ同時の攻撃になる。

 応用で、右手を前方、左手を後方に出せば前後に攻撃魔法が発動する。命中確率は、その対象を一度見れば、ほぼ完ぺきに当たる。

 更に、複数の攻撃をするときは、両手を斜めに広げ視認した後に思い描けば、その数だけ発動する。

 使った事は無いけど、一度に数百は簡単に出せる。

 凄いな、無敵じゃないか。

 しかし、次から次へとキャタピラーが出てくる。

 楽しく切り倒しているファルタリアとサリアだけど、また十数体のキャタピラーが後ろから出てきた。

 これは俺が相手をしよう。キャタピラーから攻撃して来たけど、余裕で避けて、素早く瞬時に駆け抜ける。

 その瞬間、十数体のキャタピラーが全て真っ二つになった。

 俺にとっては、とてもゆっくりな攻撃だったので、切り倒しながら通り過ぎただけだよ。ま、こんな感じかな。

 コーマに礼を言うよ、ありがとう。

 丁度魔物を倒し、間の空いたファルタリアが眼を輝かせて見ていた。


「うわぁ、久しぶりにラサキさんの剣技を見ました。更に磨きがかかっていますね、さすが師匠ですぅ」


 初めて見たサリアが驚いている。


「す、凄い強いがや。さすがあたいを愛しているラサキがや。あたいも惚れ直したがや。アハハー」


 その後も魔物が続々と現れて、その度に切り倒した。

 それは、サリアに魔物を引き寄せる魔法を発動してもらっているからさ、あまり現れないとつまらないし三人では手持ち無沙汰だからね。

 今回は逃げるキャタピラーもすべて討伐した。

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