第57話 依頼が終わった
囲まれているファルタリアとサリア。
漁師達の声が大きいから聞こえて来た。ファルタリア達が釣った魚の数が漁師達と変わらないくらい大漁だったので、称賛していたよ。
嬉しそうなファルタリアとサリア。コーマも消えなくてもいいのに。
俺に気が付いたその漁師の一人が近づいて来る。
「なあラサキ。あの奴隷を売ってはくれないか? 解放して漁師にしたい。これだけ漁に向いている奴隷はいないよ、初めてだ。相場より多く弾むがどうだろう。それと同行しているファルタリアには、これから話をしようと思っているんだが」
ああ、引き抜きか。あの釣り方を見れば、誰でも欲しがるよな。
「二人に聞いてみればいいよ。サリアは無理に奴隷にしていないし、ファルタリアも、漁師になりたいなら構わない。無理強いしないで説得して見れば?」
「ありがたい、恩に着るよ」
喜んだ漁師達。さっそく二人の勧誘が始まったけど、思惑通りに行くのかな。
そうか、コーマはこうなる事がわかっていたから消えたのかもね。
説得されていたファルタリアが答える。
「私は、ラサキさんと同行している冒険者ですけど肉奴隷でもあります。私はラサキさんをお慕いしているので無理です。ゴメンなさい」
続いてサリアも話す。仁王立ちだけど漁師を見る眼線は上だ。
「あたいはラサキに愛されているがや。自分でラサキの肉奴隷になる事を望んだがや。ラサキと離れ離れになる事は、絶対に無いがや」
話しを聞いていた漁師達は諦めたかな、ご愁傷様。しかし、二人が肉奴隷を連発したから、俺に向ける視線が冷たくなったのは気のせいかな。
その後もう一度釣りをして、仕分け作業中に出現する触手を切り倒した。
現れてたコーマも加わり、三人で好き放題釣ったので、魚が入りきらず予定より早く終了したのでみんな喜んでいたよ。
帰り支度の作業も終わり、帰路に着く。港に着く頃には日も傾いている。船を降りたら依頼終了だ。
三人も楽しんだようだね。
漁師の翌日は、釣った魚を朝早くから市場に荷卸しするので漁は休みだった。一日おきの漁なんだね。 港に着いて接岸し、桟橋を降りると甲板から船長のバルガンさんが声を掛けて来た。
「明日は昼前に食べに来いよ! 準備しておく」
上を向く俺達。
「ああ、喜んで行くよ、ありがとう」
四人仲良く宿に帰って、一日潮風に当たった俺は風呂に入る。入る前に染みついた塩を洗い落としてから湯船に仰向けに浸かった。
「フゥー、いい湯だ、癒されるよ。今日の依頼は楽しかったな。コーマ達も喜んでいたし、行って良かったな。フゥー」
後からコーマが入って来る。
「ラサキ、お疲れ様。楽しかった、ウフフ」
体を洗い流して隣に入って来る。あれだけスタイルがいいと、何をしても様になっているし。続いてファルタリアとサリアだ。
「失礼しまーす。エヘヘ」
「入るがや。アハハー」
「体を洗ってから入れよ」
三人ともいつもと変わらず、何も隠さず堂々と入って来る。もう俺も何も言わないけど、いいのかな、いいのだろうな。
悩んでいる俺に、隣のファルタリアが、緩んだ笑顔で何やら湯の中を覗き込んでいる。
「ラサキさんのちんこって、何ででっかいのですか?」
「そ、そんな事、し、知らないよ。原因はコーマじゃないのか?」
「ええぇ? コーマさんが大きくしたんですかぁ?」
俺の隣のコーマが当たり前の顔で言う。
「その通りよ、私の考え通り。ウフフ」
「やっぱり揉んだり伸ばしたりしたのですか? いいなぁ」
「ウフフ、秘密」
「ヘェー、ラサキさんのちんこを大きくしたのは、コーマさんだったんですか」
何故か感慨深くなるファルタリア。そこか? そこなのか? もういいよ、全く。そこにサリアが、仰向けで鼻歌を歌いながら漂ってくる。
「フフーン、フーン、ラーサキさんのちんこ。ちーんこ、ちんこ。ラーサキさんのでっかいちーんこ。ちーんこ、ちんこ。フフーン」
「おい! サリア! 止めておけ」
浮かんでいたサリアが立ち上がり、また仁王立ちだ。
「え? ダメかや? 四人の時ぐらいいいがや。ラサキは冷たくなったかや? 折角ファルタリアに教えてもらったがや。いい歌だから歌いたいがや」
もういいよ、好きにしてください。サリアは、また仰向けで浮かんで歌っていた。
教えたファルタリアは、エヘヘと笑っていたけどさ。その代り今日もモフらせてもらったよ、しっかりとね。
最近はベッドでモフるより、お湯の中で漂って大きくなっている尻尾の方が癒されるかな。
その夜は、俺の疲れもあり四人仲良く就寝。
翌日は、皿食も食べに行かないからゆっくりと起きる。
俺も三人も起きてはいるけどベッドを出ず、話すわけでもなく、くっ付いたり離れたり、マッタリとくつろいでいる。
「なあ、何か着ないか? 見慣れているとはいえ、全裸って言うのは良くないんじゃないのか?」
「私はつがいになるからいいの。見慣れたなら尚更いいじゃない。ウフフ」
「そうですよ、いくらでも見てください。エヘヘ」
「いいがや、ラサキ。胸揉むかや? アハハー」
コーマもいるし、勝てそうにないから止めておくよ。俺はこの先大丈夫なのだろうか。思いやられなければいいけど。
俺はファルタリアを見つめれば視線が合う。気が付いたファルタリアが、赤ら顔になって背を向けて俺の腿に尻尾を乗せてくる。
わかっているじゃないか、昨晩に引き続きモフらせてもらうよ。今日はコーマもモフッていたな。
でも、癒されないってさ、何でだろう……俺だけかな。
バルガンさんと約束した昼も近くなり、教えてもらった通りの道順でバルガンさんの家に着いた。出てきたバルガンさんは軽装だったよ。
休みだから当たり前か。
「よく来たな、ラサキ。今朝の荷卸しで、上質の部位を持って来たから期待していろよ」
「それは楽しみだな」
「サーラ! 客だ」
バルガンさんの声で、家の中から奥さんが出てきた。長い緑髪緑眼の細めだけど、とてもいいスタイルだ。
身長は一六〇センチ程で褐色の美人だよ美人。おい、何か反則したんじゃないのか? どうやって口説いたんだ? 機会があったら聞いてみたいな。
察知したコーマがすぐに隣に来る。
「ラサキ、私がいるでしょ。ウフフ」
「あ、ああ、そうだな」
――読まれているし。
奥さんのサーラさんが笑顔で挨拶してくる。
「あらあら、まあまあ、よくいらっしゃいました。うちの亭主がお世話になってしまって、ありがとうございます」
「いえ、依頼ですから当然の事をしただけです」
「いえいえ、とんでも無いですよ。亭主もいい冒険者に当たった、と喜んでいましたから。ウフフ」
話しが聞こえたバルガンさんは、照れていた。




