第 7話 帝国4
食べ終わればやはり、当然の如く無料だった。本当にいいのかな、と思いつつも、ありがたく頂きました。
帰り道は食後だし、体を動かせたいのか腕を組む事無く好き勝手に歩いた。
コーマは神だから、あれだけ食べても体型は寸分変わらず、ルージュも気にして食べたからか変わらず。
それに引きかえファルタリアとサリアの腹は、妊婦のように、ポコン、と大きくなっていた。
「食べ過ぎましたー。もう食べられませーん」
「もう無理がや、ダメがや」
「満足したろ? 太らないのだから消化すれば元に戻るだろ? まるで妊婦みたいだな」
急に嬉しそうになる二人は、両手でお腹を抱えるように抑える。
「わぁ、これはもしかしてラサキさんの……」
「ラサキの愛の結晶がやー。アハハー」
「食べ過ぎよ」
「単なる食べ過ぎです」
「食べ過ぎだ」
うん? コーマもルージュもいつになく冷たかったな。
宿に帰り風呂に入った。サリアも外に出たのでもう一度入った。この風呂も気に入っているから何度入っても楽しいらしい。
結局いつものように、サリアは漂い、ルージュは少し離れ、俺の両隣にファルタリアとコーマ。
ちんこの歌は無かったけど、ファルタリアの尻尾はしっかりモフらせてもらった。
「あん……」
その夜、お勤めなのでサリアを可愛がった。
お勤めとは言いながら、順番とは言いながら、嫌々だとか、仕方がないとか、流れ作業だとかなんて、これっぽっちも思っていない。
俺にとっては四人とも、大事な最愛の嫁なので、嬉しいくらいだし、むしろ俺には勿体なく、嫁になってもらってありがたいくらいだ。
この生活がずっと続けばいいなと思う。改めてコーマに感謝しよう。
◇
日も昇り始めた朝。
約束したサリアと今、腕を組んで歩いている。清々しい朝に二人で歩いている。
昨晩可愛がったばかりだから尚更嬉しそうに歩いている。
宝飾店はまだ開店前なので、直接行かずに遠回りして歩いている。
それは――。
昨晩にファルタリアとサリアが、ルージュに詰め寄り事の次第を問い詰め、先輩の質問にルージュが素直に、その日の行動を事細かく話をしてしまったから。
それはズルい、とか、あたいもない、とかまたも言い始め、俺も巻き込まれてしまったよ。
結果、午前中はサリアとデート、午後はファルタリアとデートになった。
もう一人コーマは、いつになく謙虚で、夕方のひと時でいい、と言うのでこうなった。
「ラサキー、あたいも初めてがや、嬉しいがや」
楽しそうに引っ付くサリア。ルージュに負けず劣らず腕を絡ませている。
「それは良かったよ」
二人きりでこうして歩く事なんて、思い出す限り初めてかな。
こうして一緒に歩けば初めて出会った頃とは違っている。
スタイル、容姿は同じようだけど身長も伸び今では一五〇センチを超えたあたりだし、ん? 先日より更に伸びたのか? 毎日のように見ていたから感じなかったな。
元々可愛く綺麗だし当たり前だから、そんなに気にしなかったけどよく見れば、より綺麗な女性になっている事を確信した。
その証拠に周囲の男連中が、羨ましそうに、ジロジロ、と見ているからさ。そんな強い視線をものともしない、気にしない、気が付かないサリアは楽しんでいるようだ。
「ラサキ、今度はあっちに行くがや」
「ああ、了解」
店の前を見て回り、気になったら入って物色する。買う程では無かったけれど、終始楽しそうだった。
そして宝飾店に着く前にサリアが俺を見る。吸い込まれそうな赤い瞳が美しいな。
「ラサキは楽しいかや?」
「ああ勿論。サリアとデートするのは初めてだし、綺麗なサリアと一緒だから言う事無いよ」
より一層可愛い笑顔になるサリア。
「そうかや、そうかや。あたいも楽しいがや」
そして宝飾店に入り、あれやこれや、と見て触って眺めしばらく、サリアの眼に留まった首飾りを購入した。
帰り道の途中でルージュと同じように手渡す。
「ラサキ、嬉しいがや。んー」
あー、やっぱりこうなるか。真昼間だけど、嫌いじゃないけど、むしろ嬉しいけど、何で同じようにしたいのか理解に苦しんだ。
けど、サリアがしたいのならば拒む理由はない。
そして首飾りを着けてあげて宿に帰った。
「ラサキに買ってもらったがやー、贈り物がやー、記念がやー、アハハー」
またもや、はしゃぎまくるサリア。
まだファルタリアが待っているんだから、自分の事ばかり考えているんじゃないよ全く。
あ、今コーマはいない。夕方に帰って来ると言い残し消えている。
ルージュはテーブルの椅子に座り、首飾りを触りながら、ニマニマ、している。
朝からずっとあの調子、だとファルタリアが教えてくれた。
「次は私ですね、ラサキさん」
「ああ、行こうか」
朝のサリアの服装を見て、午前中に買い物に行ったようだな。いつもと違う、青く艶やかな服を着たファルタリアがいた。
「お待たせしました」
「おお、似合っているよ」
「エヘヘ、行きましょう」
俺にとってはまたもや同じ経路を歩く。ファルタリアは腕を組み満面の笑みで歩く。
それはいいけど、昨日からこれで三回目だから、見て回る店では、さすがに顔を覚えられ店主が嫌な顔をする。
それもそのはず、毎回違う女性を連れているからだろうな。
どう思われているのか……聞きたくはないな。
神、コーマは別として、知り合ってから長く、旅行などでも二人きりで一緒に歩く事が一番多かったファルタリア。
見慣れたと思っていたけど、サリアを、マジマジ、と見たように、観察するように、同じように見れば、身長も少し伸びているかな。
ファルタリアとコーマのスタイルは、スレンダーながらも出ている部分は出て、くびれるところはしっかりくびれてメリハリのある、見事な、完璧な、鉄壁な体つきだと思う。
そして綺麗で美しいときている。
ファルタリアの金髪から始まる毛並みも、細く柔らかくきめ細やかな上艶やかで美しい。
容姿を別としたなら、俺的には大きく膨らんだ尻尾が何よりもいいと思っている。
「なあファルタリア」
「はい? 何ですか?」
「ファルタリアは俺と付き合って、コーマの次に長いからデートなんてしなくていいんじゃないのか?」
「ええぇ? どうしてですかぁ?」
「昔はよく二人で歩いていたからさ。デートしているようなものだし、もう慣れているだろ?」
「違いますよぉ、ダメですよぉ、これは別ですよぉ……泣きますよ?」
「あ、いや、す、すまん」
「嘘です。エヘヘ」
「全く。でもこういう二人の会話も一番長いだろ? それでも違うのか?」
「はい。デートはデートです。一緒に歩く事も嬉しいし楽しいです。デートとは別腹ならぬ別物なのです。嫁になっても大切な事なのです」
「そ、そうか、了解した。今後は検討しないといけないかな」
「そうですね。帰ったらさっそく順番を決めないと、ですね」
「いや、まだそこまでしなくていいよ」
「ダメですよぉ。大事な事ですから。私としては三者と対峙して、少なくとも小一時間は話し合わないといけないです。そう言う覚悟が必要です」
「そこまでするのか」
「はい、します。したいです。しないといけないです。エヘヘ」
そんな会話をしながら腕を組んで、いや、絡められて歩いた。デートとは女性の一大行事なのかな。
――理解できなかった。




