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第 6話 帝国3

 宿に帰り、部屋に入ればテーブルを挟み、ファルタリアとサリアが話をしていた。

 ちゃっかりコーマもその横で澄ましてお茶を飲んでいるし。


「やっぱりちんこですよねー。今日はサリアさんですよねー」

「成る程成る程がや、参考にするがや、楽しみがや。アハハー」


 帰って来たそうそう、またちんこの話か。

 ――聞かなかった事にしよう。

 そのファルタリアが、可愛い三角の耳を、ピコッ、とさせて振り向く。


「あ、ラサキさん、ルージュ、お帰りなさーい」

「おかえりがや」

「ラサキ、お腹減った」

「ああ、ただ今」

「戻りました、楽しかったです。ハハ」


 楽しい、の一言で、ファルタリアがルージュに眼を光らせる。


「あー! ルージュ! その首飾りはどうしたのですか?」

「え? あ、は、はい。ラサキさんから頂きました……初デートの記念に。ハハ」


 首飾りに手を掛けながら頬を赤らめ、嬉しそうなルージュを恨めしそうに見るサリア。


「あたいは貰った事が無いがや! ラサキ! な・い・がや! デートも無いがや! な・い・がや!」

「あ、そ、そうだったかな。なら明日一緒にデートして買いに行こうか」


 その一言でサリアは満面の笑顔で飛び上がって、部屋中で大はしゃぎをし始めた。

 どれだけ嬉しいのか、ちょっと狂気じみて怖いな。


「嬉しいがやー、やったがやー、ラサキの愛の贈り物がやー。アハハー」


 ルージュはもうどうでもいいようで、イソイソ、と部屋に入って行った。

 残るは座っている二人。


「ラサキさーん、私も欲しいですよー。下さいよー」

「私も欲しいな」

「ファルタリアとコーマは以前、盗賊から奪った装飾品から貰っただろ?」

「ええぇ? 嫌ですよぉ。あれはラサキさんからの贈り物とは違いますよぉ」

「え? 俺が拾ってから渡そうが、自分で取ろうが同じだろ? 好きな物取っていいよ、って言ったと思うしさ」

「ちーがーいーまーすーよー! それは違いますぅ……う、う、うぇぇ」


 あー、泣き出したよ。ファルタリアは感極まるとすぐに泣くよな。何でかな。

 それに引きかえコーマは冷静だな。


「私はラサキの袋に返したから貰えるよね。ウフフ」

「え? いつ?」

「随分昔よ。旅行に行く前。ウフフ」


 部屋に入り、袋をひっくり返したら、一番最後に首飾りと腕輪が落ちて来た。

 なんだよ、俺は知らずにずっと持っていたのか。一言言えばいいのに、全く。

 戻ればサリアがまだはしゃいでいる。


「ラサキー、あたいはお風呂に行くがや。今日はあたいがや。アハハー」


 嬉しそうに透き通った白髪を揺らし小走りに風呂に入って行った。

 ファルタリアはまだ泣いているけど、放置だ。


「コーマ、あったよ」

「ウフフ。だから私もラサキに選んでほしいな」

「そうだな。コーマも明日でいいか?」

「うん。ウフフ」


 納得したコーマは、テーブルのお茶をすすり始めた。


「ラーザーキーざーん、わだじー」


 聞き辛いな。


「泣き止んだら話をしよう」

「え、ぐ、うぅ」


 少しして落ち着いたのか泣き止んだ。


「グス、ラサキさーん、私も欲しいですよぉー」

「わかったよ、ファルタリアにも買うよ」

「愛の籠もった贈り物ですよ? 約束ですよ? 約束しましたよ?」


 愛が籠るかどうかは知らないけど。


「ああ、了解。明日な」


 あ、そうだ忘れていた。


「触手の料理を食べに行こうと、店に予覚入れていたのを忘れていたよ」

「いいですね、行きましょう。サリアさん、お風呂行っちゃいましたよ」

「出て来るのを待とう」

「先に行っちゃいますか? 置いて行っちゃいますか?」

「ファルタリアがやられたらどうする?」

「まず泣きます。嘘に決まっているじゃないですかぁ、冗談ですよぉ。エヘヘ」

「エヘヘ、じゃない」


 ファルタリアはたまに、悪びれもせずに頓珍漢な事を言い出すよな、全く。

 ルージュとコーマは我関せずだったけど、ルージュが立ち上がり、呼ぼうとしたのか風呂に行こうとした。


「ルージュ、急がせるなよ」

「はい」


 さすがルージュ、場の雰囲気が読めているね。

 ルージュが戻った後、少しして湯上りの、ほんのり赤くなったサリアが出てきた。

 全裸は当たり前の事だけどね。


「行くなら早く言うがや、今着てくるがや」

「悪いな、急がせるようで」

「いいがや、その代りラサキの隣はあたいがや」

「了解したよ」


 ファルタリアが三角の耳を、ピコッ、とさせる。


「私は?」

「その隣だよ、いいじゃないか」

「は、はい」


 ちょっと納得していないようだな。私が二番なのに、とか、私が長いのに、とか小言で独り言を言っていたけど聞いていない振りをした。

 そして装備を外した服装で店に出向いた。

 部屋に案内され、そして爆食。


「いつ食べても美味しいですね。あむ」

「飽きないがや、美味いがや。あむ」

「毎日でも食べたいですね、ボクも好きです。あむ」

「ウフフ、美味しいね。あむ」

「食べ過ぎて太るなよ? 太っても知らないぞ?」


 太る事はない、と昔から断言している三人。確かにそうだ。有言実行しているしね。

 だがしかし、ルージュだけが固まった。

 フォークに刺さったままの料理を、口に持って行く手前で、ピタリ、と固まった。

 そして静かに皿に置いた。


「すみません、ラサキさん。ボク……少し太りました」


 ナイフを置いてうつむくルージュ。

 あ、地雷を踏んだか? やばいかな。


「あ、いや、気にするなよルージュ。ファルタリア達に言っただけだから、好きなだけ食べたらいいよ」

「で、でも、少し太ってしまったのは事実です。すみません」

「ル、ルージュなら、少しくらい太っても大丈夫だよ。むしろ俺が悪かった。だから思う存分食べてくれ」


 他の三人は、気にせず、気にも留めず、気が付かず、バクバク、と食べている。


「ほら、みんなも沢山食べているからさ、ゴメンな」

「い、いえ……ではもう少しだけ頂きます」


 ゆっくりと食べ始めるルージュ。

 反して怒涛の如く食べているファルタリアがルージュを見る。


「ゴクン。そんなに太ったように見えないけど。あむ」

「俺もそう思うよ。全く太っていないよ? 変わらないよ」


 ルージュは赤ら顔になり、苦笑いする。


「む、胸が、胸の贅肉が少し……大きくなりました」


 ファルタリアとサリアが、口の中に料理を含んだまま、ルージュを見て固まる。

 いや、もとい、ルージュの胸を見て固まった。

 すぐに二人は顔を見合わせたら我武者羅に食べ始めた。


「おいおい、ゆっくり食べろよ。料理は逃げたりしないからさ」

「モグモグゴクン。食べなければいけない気がしたのです。あむ」

「ゴクン、食べるがや。大きくするがや。あむ、大きくもぐもぐ」

「ウフフ、美味しい。あむ」


 何だか良く分からないけど、みんな白熱して一心不乱に食べている。

 しかしルージュの破壊兵器なら、多少大きくなろうが小さくなろうが俺には分からないレベルだよ。

 気にするのはルージュ本人だけなのだろう。

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