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第 1話 あれから

 夕方、日も暮れそうなレムルの森にある我が家。

 コーマは俺とイチャこいた後、満たされたのかテーブル席で果物を食べている。

 俺は、と言うと今、調理場で料理を作っている。

 料理も出来上り、盛りつけ、テーブルに載せると外から装備を身に纏った三人が帰って来た。


「ラサキさーん、ただいまでーす」

「ただいまがや」

「ただいま帰りましたー」

「ああ、お帰り」

「うーん、良い匂いですねー」

「美味そうがや」

「ボクも早く食べたいです」


 三人は、部屋に入り装備を外し、手を洗って席に着く。

 いつもと変わらない、談笑しながらの食事が始まる。

 戦争が開戦されて約一か月が経った。


 俺達は、運よく戦争の参加要請も無いまま過ごしている。それは、俺とファルタリアは冒険者登録をしたけど、何もせず依頼も受けないでいたから外されたようだ。

 ギナレスの町の樹海の依頼も、フェーニ達が受けていたからね。サリアは奴隷登録だったし魔法も秘密だったから問題なし。

 ルージュも、フェーニとミケリが二人で乙女団として参加したので免れている。

 ただ、シャルテンの町には行っていない。俺達が町中を歩いて何か言われても嫌だし、ギルドでも言われそうだからさ。

 しかし、戦場の状況がギルドに連絡が入る。とレニが言っていたので、戦争に参加しているフェーニ達の状況が聞きたくなって、出向くことにした。


 翌日

 久しぶりだから、朝狩りに行って獲った、肉や野菜も荷車で曳いて行こう。

 手持ちの資金は十二分にあるけど、折角シャルテンの町に行くのだし、少なからず待っている人もいるだろうからね。

 シャルテンの町に入ると……特に誰からも変な目で見られることも無く、何も起こる事無く普通の町だった。

 ギルドの横で台を広げ、三人に準備をしてもらっているうちに、俺はギルドに入って行く。

 カウンターに近づくとレニが俺を見る。


「あれ? ラサキさんは参戦していないのですか?」

「ああ、俺達には何の連絡も無かったからね。依頼の実績も無かったからかな」


 分厚い帳面を取り出し、マジマジと見るレニ。


「ええと、あ、あった。……はい、登録のみだったからのようですね。ラサキさんより少し早く登録されたファルタリアさんも受けていませんね」

「ハハハ、運が良かったよ」

「こう言う事もあるのですね、ラサキさんの希望通りで何よりです」

「で、レニ。フェーニ達は今どうなっているのか知っているか?」

「はい、少しお待ちを」


 後ろの机で、重なっている書類から数枚の紙を取り出したレニ。


「これが伝達書です。レムルの森にスミレ咲くバラが咲くユリが咲くラサキを慕う乙女団の功績が載っていますね」


 おいおい、恥ずかしすぎるだろ。読み上げるなよ全く。

 手渡して来た伝達書を手に取り見れば、フェーニ達の活躍が載っていた。

 そりゃそうだよ、あれだけ強くなったのだから活躍しているのが当たり前だよ。

 ま、鍛錬で更に鍛えた強さは俺達しか知らないだろうけど。

 そして最後に書かれていた事は、フェーニが中隊長、ミケリが副中隊長に昇格していた。

 フェーニの予定通り、着実に格が上がって来たね、頑張れよ。

 戦争の状況はどうなっているのかも書かれている。

 王国と帝国の規模は、両国とも十数万人どうしの戦いで、戦争になったきっかけはタレーヌの丘の地下に眠る資源だと書かれている。

 仲良く分ければいいのに。欲に目がくらんで一人占めしたいのだろう。

 ま、俺には関係ないけどね。

 一通り眼をやり、もう用は無いなとギルドを出れば、持って来た肉や野菜は完売していた。

 出てきた俺を見たルージュが、笑顔で走り寄り正面から抱きついて来る。


「ラサキさーん、売り切れましたー。エヘヘ」


 押し付けられて変形してる、巨大な二つの破壊兵器は見ていない、決して。

 勿論表情なんて、にやけたりせずに無表情だよ。


「ああ、ご苦労様、ありがとう」


 片付けていたファルタリアとサリアも終わっていた。


「終わりました、ラサキさん」


 サリアが両手で、ワシワシさせていた事には触れないでおこう。


「終わったがや、皿食に行くがや」

「二人もご苦労様。じゃ、行こうか」


 皿食屋に向かって歩き出せば、コーマも現れて腕を組んでくる。


「ウフフ、久しぶりだから楽しみね」


 コーマが隣にいる時、三人は遠慮しているのか、少し離れて歩くのが暗黙の了解になっている。

 気にする事も無いだろうけど、両方から腕を組まれたら歩き辛くなるので、あえて言っていない。

 美味しい皿食は、コーマ、ファルタリア、サリアとお代わりしに行けば、ルージュまで後を追うように 付き従う。あまり無理するなよ。

 久しぶりの皿食を堪能して、香辛料と調味料、そして酒を大量に購入し荷車に載せる。

 山積みになった荷車を曳いて我が家に帰る。

 シャルテンの町から我が家の入口までの街道では、魔物の姿を見る事は皆無になっている。

 行き来するたびに、コーマの力とサリアの防御魔法が効いているのか魔物にとって近寄りにくくなっているのかな。


 ここ最近の三人の強さ、ファルタリアの戦闘時、半予知化するまでになっているからほぼ無敵状態。サリアも魔法力が向上し、素早さも抜群。剣技もファルタリア直伝でさらに強化された。

 そしてルージュの戦闘力が格段に上がってきている。

 魔法攻撃を、ほぼ無効化するファルタリアまでは行かないにしても、中位魔法までなら無効化するらしい。上位の魔法攻撃も簡単に防御魔法で防げるとの事。

 察知力も向上し、剣術もファルタリアが指導していたので、魔法抜きの剣技では、元々剣士だった事でもあり、今ではサリアと互角で戦えるほどになっている。

 それは何故か。

 コーマ曰く、お勤めが一番だけれど、口づけも十分効き目がある。

 と言う事で、ファルタリアとサリアに強く言われたのでフェーニ達には可哀そうだけれど許していた。

 当初は余程うれしかったのか、飛び上がって喜んでいたっけ。

 勿論、上下にユッサユッサ、タユンタユンしている所は見ていない、決して。

 最近まで、他に負けまいと率先して向かって来ていた。

 ただルージュは、真面目なのか、正直なのか、純真なのか他の三人と違い、聞いて来る事が恥ずかしかった。

 料理を始める前も、


「あのー、ラサキさん」

「ん? なにかな」

「口づけしていいでしょうか」

「え? あ……ああいいよ」

「失礼します……ん」


 オズオズと近寄り赤ら顔で口づけそして来る。

 外から帰った時も、


「あのー、ラサキさん」

「ん? どうした?」

「口づけしていいでしょうか」

「あ、ああいいよ」


 そしてまた、


「あのーラサキさん」

「どうぞどうぞ」


 もう態度でわかるよ。


「あのーラサキさん……んっ?」


 こっちからしてあげました。


「いちいち言わなくていいよ。俺が恥ずかしくなるからさ」

「は、はい、ボクも努力します」


 その都度ファルタリアとサリアが生暖かい笑顔で見ているし。鍛錬ばかりじゃなく、そう言う事はお前達が教えろよ、先輩だろ。

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